「公認心理師」と名乗れるようになりました。
国家試験に合格しただけでは名乗れませんでしたが、ようやく登録が完了して、プロフィールに書き加えることができました。

公認心理師は、心理職唯一の国家資格です。
医療福祉や教育などの分野において、心理学の専門的な知識と技術をもったうえで、心理に関する支援や指導、教育および指導を行うことが、その役割です。

わたしはGルート(現任者ルート)で受験したのですが、これは2017年9月に公認心理師法が施行されたことに伴う、5年間限定の経過措置、いわゆる特例の受験区分で、すでに心理職として働いている人などのためのルートです。Gルートは今年の9月で終了しました。

Gルートで受験するためには、公認心理師法に記載されている所定の要件を満たすことが必要です。

平たく言うと、現任者講習会(4〜5日間)を受講していること、そして、2012年9月16日から2017年9月15日までの間に文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、心理職として働いた期間が5年以上あることが所定要件です。

試験に合格したことは、もちろん嬉しいことです。
しかし、もっと嬉しいのは阪神大震災から28年の中で、この受験資格を満たせたこと、つまり、オフィシャルに認められるメンタルヘルスケアに関わることができたことです。

1995年の神戸の震災を被災者として、支援者として経験し、毎日子どものケアのための出張のお絵かきやさんに奔走しました。
当時わたしは専門学校で社会体育学科の講師でした。体育科の学生時代から「子どもの健康」がテーマで、心理学部を卒業したわけではありません。
「おんぶして!」「抱っこして!」と言う子どもたちを体ごと受け止め、子どもたちが描く絵からたくさんのことを学びながら、同時に机の上で学びながらの日々でした。
この活動をきっかけに、多くの方に出会い、多くの貴重な機会をいただきました。
今はすでに鬼籍に入っておられる長尾圭造先生にはコソボ紛争で被災した子どもたちをはじめ、実に様々な方の絵によるケアに取り組む機会をいただきましたし、また、教育、保育などの関係の方々からは全国いろいろな場所で子どもの絵と心について、お話させていただく機会も与えられました。
お話しするには、子どもの作品を横断的に、縦断的に検証することが必要です。
東日本大震災で被災した子どもたち、西日本豪雨で被災した子どもたち、学校に行っていない子どもたち、元気に登校している子どもたち、本当にたくさんの子どもたちに出会う機会を与えていただきました。
また、幸運にも阪神大震災から20年の2015年には、日本児童青年精神医学会より実践奨励賞もいただきました。
そうした機会を与えられたことに感謝しながら、そして、子どもたちから教えてもらった大切なことを伝えれる機会と感じながら、とにかく全力で取り組みました。
もちろん、当たって砕けたこともありました。

こうしたことから児童養護施設や児童相談所の一時保護所での活動につながったり、医療機関でアートセラピーに取り組ませていただいたりしたことが、公認心理師試験の受験資格を満たしました。
これは、今考えても本当に恵まれていたと感謝せずにはいられないし、多くの方々、とりわけ、これまで出会った子どもたちから贈られたギフトではないかと思っています。

これまで出会った子どもたちから「ちゃんと準備してやったから、しっかりやれよ!」と言われている気もします。
これまで会った子どもたちが、国家試験にトライするというチャンスをくれたのです。
これまでも、これからも、子どもたちはわたしに大切なことを気づかせてくれるにちがいありません。
ギフトが気になるクリスマスシーズンですが、今年はもう大きな、大きなギフトを受け取りました。

ありがとう。 

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