屋外ではマスクのない人たちが少しずつ増える中、ぽかぽかと暖かい公園に子どもたちが集まりました(4月16日 大倉山公園)。

 ここのところ、増えているのが2~4歳くらいの小さな子どもたちです。絵の具で遊ぶのも、ねんどをこねるのも、特にお父さんたちがにこにこして見守りながら懸命に手伝ってくださっています。
20年くらい前は体のない人の絵を見て「なんや!これは!」と怒りが混じった声をあげるお父さんもいらっしゃましたが、そんな声ももうすっかり聞かなくなりました。

 中でも画用紙を黒くぬりつくしていた女の子は、お父さんのアシストが素晴らしく、黒の中に他の色も入れて、おそらくこの時に出したかったであろう色をすべて出し切りました。
出し切った後、お父さんは「すごく楽しかったみたいです」と話してくださいました。
お父さんの素晴らしいアシストは、あおぞらスタッフのほとんどが気づいていました。

子どもの絵の中に暗いトーンの色が出てくると、つい「そんなに絵の具を混ぜないで」や、「そんな色じゃなくてもっときれいな色を使って」と言ってしまう大人は少なくありません。
ダークトーンの色はきれいじゃないのでしょうか。
そう言ってしまう大人たちはダークトーンの服を着ないのでしょうか。
体験したことや、見たものは絵によく現れますが、それらの中にはダークトーンはないのでしょうか。

パレットや筆洗の水の中に次々と絵の具を入れて、色が変わったり、変わらなかったりする絵の具は子どもたちの好奇心や知的欲求を刺激します。
不思議に感じる心、疑問に思う気持ちは様々な能力の土台となります。
絵を描いたり、色をつくったり、立体物をつくることは単にアート作品を生み出すだけではなく、その過程に実に多くの脳と心への刺激があります。
たくさんの色を混ぜると、当然絵の具は暗いトーンになりますが、その色には子どもたちの多くの発見やトライ、気づきが含まれ、それに加えて様々な感情も含まれています。
黒っぽい色の中に隠れているたくさんの色は、子どもたちが心に抱えているたくさんの感情や欲求などが象徴されているからです。

特に4〜5月は環境が大きく変わり、子どもも大人も、良くも悪くもちょっぴり落ち着きません。
一年のうちで最も多くの感情を抱えてしまう季節かもしれません。
しかし、次々と絵の具を混ぜることで、抱えている様々な感情などを外に出すと、心は少し軽くなります。
心が軽くなると、なんだかすっきりして次に描く絵はまったく違う色が現れます。
色が変わるだけでなく、形が現れることもしばしばです。

子どもたちのダークトーンには、心のメッセージが詰まっています。
表現したいものを思い切り表現できるようにアシストしてくださっているお父さん、お母さんは本当に増えました。
あおぞら色彩楽園に遊びに来てくれた子どもたちの心が少しでも軽くなり、元気になって、帰路についてもらうことは、何よりの願いです。

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