fullsizeoutput_480 春休みももうすぐ終わりというある日のアトリエに集まった子どもたち、新学期のスタートを目前に控えて、それぞれにドキドキを抱えていたようでした。
子もたちの口から聞かれたのは、「あー、やだなー、明日から学校始まるー」、「月曜日になったら2年生」など、緊張と不安の中にも楽しみや新しい日々への期待も混ざり合っていて、「やだなー」という言葉の中にも高まるエネルギーが溢れているようでした。


 4月は一年の中で最も気持ちは激しく揺れるときです。進級したり、入学したりして逸る気持ちもあふれ出てくるし、学校を休みがちな子どもたちも、やはりはりきりモードになって登校したりもします。
新しい学年、つまり新しい環境への期待も大きく、がんばりたい気持ちが高まります。


 このように緊張も高く、がんばりすぎてしまいがちな4~5月には、作品が手につかない時があったり、とにかくダンボール紙を切ることに没頭したりする姿が見られます。
4月の「あおぞら」でも、とにかく絵の具をぬりつくした形のない作品があちこちにありました。


 こうした、絵の具の色すべてを混ぜ合わせ、それをぬりつけただけのような「形のない」作品を見ると、ほっとします。

 なぜなら、4月の子どもたちの心の中には緊張と不安、期待と楽しみ、疑問や不満、学年が上がって成長を感じる誇らしい気持ちなどなど、実にたくさんの様々な感情が入り混じっていて、「今、こんな気持ち」などと一言で表現できるものではありません。
色は感情と強い結びつきがありますから、心に抱えた様々な感情を絵の具やクレヨンで外に出すと、それはさまざまな色になります。それらの色がすべて混ざり合わさっているということは、様々な感情が混ざり合わさっている混沌とした状態とも言えます。


 子どもがたくさんの色を混ぜ合わせて暗く鈍い色に夢中になるときは、何か苦しいものを抱えているときです。しかし、同時にこれは、がんばっている証拠でもあります。
たくさんの色が混ざりあったパレットを見ると、「がんばってるね!」と思わずにはいられません。
また、その苦しい気持ちを少しでも吐き出せたことにほっとするのです。

 4~5月は形のない作品で思う存分言葉にできない気持ちを外に出してもらいたいと思っています。