毎年恒例の大阪医科薬科大学LDセンターの夏休み親子アート講座が無事に楽しく終了しました。
今年はアート講座が始まってから、記念すべき20周年でした。
2002年、「LDセンターの建物に絵を描こう!」で、子どもたちみんなが絵の具まみれになってスタートした夏休みのアートイベント。
子どもたちが壁に描いた絵の一つは、今もLDセンターのHP(https://www.ompu.ac.jp/u-deps/ldc/)のトップを飾っています。
その後センターの看板を作ったり、建物の外の壁にも絵を描いたりを経て、「子どもが自由に表現することの意味を保護者にしっかり伝えたい」想いから「親子講座」になり、そして、新型コロナウィルス感染対策のために人数制限を余儀なくされて、親子8組のアート講座となって3年目を迎えました。

まずは保護者のためのミニレクチャーで、子どもが絵を描くことの意味、絵から読み取れる心のメッセージ、表現することで育つ様々な力のことなどをアートワークの体験を交えてお話しします。
「アート講座」と名打っていますので、保護者の中には絵の描き方の指導を受けられるのでは、と思っておられる方もいらっしゃいます。
子どもたちが安心して自由なアートを楽しむためにも、まずは子どもが描いたりつくったりすることって楽しい!と思う体験をすることがいかに大切かを知っていただきたいと思っています。

さて、今年は開催前からびっくりする現象が起きました。
講座に申し込んでくれた7名の子どものうち、5名がリピーターだったことです。
昨年に続いて2回目の子から毎年必ず来てくれて、もう4回目となる子まで、当日は開始前からまるで同窓会のような雰囲気でした。
しかし、リピーターの子たちは、描くことやつくることが好きな子ばかりではありません。
むしろ、絵も工作も苦手、きらいという子たちの方が多く、そうした子たちが年に一度のアート講座を楽しみにしてくれていることは、なんとも嬉しい限りです。
さらに、図工などの成績では評価されなかったり、指示通りにできなかったとしても、描いてみたい、つくってみたいという強い気持ちを持っている子どもがいかに多いかがわかります。
子どもたちから多く見られるメッセージは、<「こうしなさい」ではなく、「自分でこうしてみたかった」>とうかがわせるものです。
この欲求が満たされたとき、子どもは驚くほどの集中力を見せますし、粘り強さも発揮します。お友だちの作品を素直に認めて、受け入れる穏やかさを見せます。
ですから、「来年も来るから!」とニコニコしながら帰っていく子が多いのでしょう。
昨年は参加することをとても心配していたAくんのお母さんは「去年は本当に楽しい時間だったようです」ととても驚いていらっしゃいました。

fullsizeoutput_2d9さらに、リピーターたちは初参加の子どもたちの、素晴らしいモデルになってくれます。 
リピーターたちは、どんな表現も受容されることがしっかりと確認できていますから、よくあるルールにとらわれず、実にのびのびと表現してくれます。
この作品は昨年に続いてきてくれたBちゃんの「宝石」です。作る様子を見ていた初参加のCくんが自分も「ねんどと絵の具を混ぜたい!」と言ってくれました。
ベタベタとねんどをこね始めたときのCくんは本当に気持ち良さそうで、開始から約1時間、ようやく心が解放されてきたことがうかがえました。

形になっていない作品や何をつくったかわかならい作品は言葉にならない内面を表していることも多く、とても大切です。Cくんもなかなか言葉にはできない気持ちを目に見える形にしてくれたのでしょう。
内面をそのまま表現できたとき、子どもたちの心は軽くなり、その子の個性が輝きます。
子どもたちは早くも来年のアート講座を楽しみにしてくれています。