フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

9月のあおぞらレポート

せっかく熱中症警戒アラートが出なかったというのに、朝からお天気が不安定で雨の予報。
9月も屋内開催となりました。

5歳のHちゃんは初めて「あおぞら色彩楽園」に遊びに来てくれました。
受付で好きな絵を描いていいこと、好きなものをつくっていいこと、好きな色をぬっていいことを伝えると、じっと聞いていましたが、最後に「で、失敗OKです!」と伝えると、驚いたような、戸惑ったような、なんとも言えない表情を浮かべていました。
すかさずお母さんが「失敗がダメなんです。ものすごくイヤなんです」と教えてくれました。

101_1023そこで、Hちゃんに「どうして失敗OKかって言うとね、絵は失敗すればするほど上手になるから!」と言うと、ちょっぴり安心したような様子でもありました。。
受付では「工作する!工作大好き!」と言っていたHちゃんでしたが、工作コーナーのあおぞらスタッフに「後でちゃんと行くから!」と気を遣ってくれた後、まず、絵の具屋さんに行き、おえかきボードの前に座りました。
Hちゃんが描いたのは大きな大きなリンゴです。
絵の具が楽しくてたまらないようで、絵の具を水で溶いたり、ローラーを使ったり、じっくりと作品に取り組みました。
思わず「わ!大きなリンゴだね!」と声をかけると、「リンゴたろうの家!」。
どうやらHちゃんの中では、絵を描きながら想像が膨らみ、物語が生まれて、おはなしが展開していくと同時に絵も変化を見せて、同時にどんどん楽しくなっているようでした。

失敗がイヤ、悔しいというのは、とてもすばらしいと思います。
失敗した時の悔しい想いは次にがんばる原動力になるでしょうし、悔しいと思うほどがんばったということでもあるでしょう。
あまりがんばっていなければ、悔しくもなんともありません。
また、失敗してもなんともないというのも心配です。
成長と共に悔しい気持ちを持ちながらも、失敗や負けを受け入れることもできるようにもなっていきます。
しかし、実にたくさんの子どもたちが失敗はダメなことと思っているように思います。
失敗して悔しい!次は成功したい!がんばる!という経験は、とても大切です。
失敗の経験があれば、失敗した人の気持ちを自分のことのように想像できるでしょうし、誰かの失敗を受け入れる、カバーしようという気持ちになることにもつながるでしょう。

Hちゃんはりんごの絵を描いた後、工作コーナーに座り込んで、終了まで2時間もの間集中していました。
「あおぞら色彩楽園」は、子どもたちの「失敗はイヤ」という気持ちを共に感じつつ、次のチャレンジを喜び合い、讃え合う場でありたいと思っています。

くますけものがたり1〜くますけ誕生秘話

くまものがたりロゴ いつも、あちこちに登場するピンクのくまは色彩楽園のキャラクター「くますけ」です。
8月には「あおぞら色彩楽園」に募金箱になって登場しました。

そう、ちゃんと名前があるんです。

 「くますけ」と名前がついたのは、2014年、ちょうど10年前です。
それまでは、見た目の通り「ピンクのくま」と呼ばれていました。
長い間名前がなかったのですが、子どもの心のケアのシンボルとして、広く親しみを持ってほしいという願いから名前を募集することにしました。


 すると、北海道や福島県、チェコ共和国やオーストラリアからの応募を含めて全37点の応募があり、これには本当にびっくりでした。

 そして、スタッフ全員で厳正に審査した結果、三作品が選ばれました。
大賞は神戸市のTくん(当時7歳)で、「くますけ」と名前をつけた理由を「みんなを助けるときにクレヨンを出して助けるから」と教えてくれました。

 くますけ」は、おなかのポケットにクレヨンを入れています。これが子どもの心のケアのシンボルである理由の一つです。

14-11のコピー


 応募者の方々はポケットに入っているクレヨンが心にダメージを受けた子どもたちにとって「おくすり」になることや、「子どもたちには自由に絵を描いてほしい」と、未来への希望と願いが込められた名前も多く、当時はくますけ誕生の背景が多くの方に理解されていたようです。。

 賞に選ばれた3名の方には、あおぞら色彩楽園にて表彰状と副賞が贈られました。


 では、なぜ、くますけはクレヨンでみんなを助けるようになったのでしょうか。

それは「くますけものがたり2」で。

お楽しみに!

8月のあおぞらレポート

本当に暑い夏でした。

連日出されていた熱中症警戒アラートのために、8月のあおぞら色彩楽園も屋内での開催となりました。

お盆期間中だったこともあり、参加者は数えるほどで、のんびりムード。

そんな中、4歳のRちゃんとAちゃんが遊びにきてくれました。

まずは二人とも工作材料の前に座り込んで、ストローを切ったり、それをペットボトルの中に入れたりすることからスタートしました。

工作を十分に楽しんだ後は二人とも絵の具やさんがある、おえかきコーナーへ。

二人が絵の具遊びを始めたことをきっかけに、それぞれのお母さんにも絵の具遊びを勧めてみました。

「えー、何描いたらいいのかなぁ」と、ちょっぴり戸惑うお二人に「今日、気持ちのいい色でぬりつくしてみましょう」とお勧めしました。

お母さんたちは、すぐにご自分の作品に集中して、目の前に出した色と向き合っているようでした。


101_0844自分よりも大きな画用紙を前に絵の具を楽しんでいたAちゃんは、お母さんたちが絵の具を使い始めたことに気づいて、興味津々でした。

絵の具やさんとお母さんのパレットの間を何度も往復して、同じ色を自分のパレットに入れて、ずいぶん刺激を受けているようでした。

Rちゃんもお母さんの作品を見て、「そんな色がいい。どうやったらいいの?」と懸命に色を作って、大きな筆やローラーにもトライして、思いがけず生まれた色などに興奮気味でした。

大人の作品を見て、それまで知らなかったやり方にトライしたり、お母さんのパレットを観察したり、子どもたちは単に「絵を描く」と一言では表せないくらいの様々な力をフル回転させて、表現活動に取り組みます。

また、お父さんやお母さんが色や素材に没頭しているとき、子どもたちは何か安心したようにリラックスして、画材を楽しみ始めます。作品がダイナミックになったり、緻密になったり、その子ならではのアイデアが出てきたりするのもよく見る光景です。


101_0846自分のスタイルで画材に集中すると、大人も子どもも画用紙の上に心を象徴する色や形が表れます。

それらを外に向かって表現することで心のバランスが整い、私たちはすっきりしたり、新しい意欲を感じたりします。

何より心に余裕が生まれるので、他の人の作品にダメ出ししたり、不満を感じたりすることもありません。

むしろ、作品を受け止めて、心から「すばらしい」と思う余裕があります。

絵の具に集中して、「確かにすっきりしました」とおっしゃっていたお母さんは、改めてお子さんの力に驚いていたようでした。


心のバランスが整い、新しいエネルギーが生まれると、とにかく楽しい!

AちゃんもRちゃんも、たっぷり2時間集中した取り組みを見せてくれました。

子どもの大きな力には毎月脱帽しています。

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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;