フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

2019年11月

石鎚山

西日本最高峰の石鎚山に登ってきた。(とは言え、もう一ヶ月ほど前だけど)

IMG_7425お昼ごはんのおむすび二つとお茶、おやつのチョコレートを買ってバスでロープウェイの下谷駅へ。
ここからロープウェイに乗って、成就駅に向かう。
朝からお天気が良くて、いろんなことが楽しみで仕方ない。
こんな良いお天気に山に登れること。
紅葉に出会えるかもしれないこと。




IMG_7427ロープウェイ到着の成就駅の空は澄んでいて、これだけでも嬉しい感じ。








IMG_7435ゆっくり登りはじめると、秋の色が出迎えてくれて、また嬉しくなって、足が速くなりそうになる。
いやいや、山はゆっくり登ろう。

紅葉の時期だからだろう。
平日なのに、たくさんのハイカーに出会う。
時には先に行かせてもらったり、先に行ってもらったりしながら、自分のペースで進んでいく。
途中で「もうダメ。おんぶしてほしい」と言う男性にも出会った。奥さんらしき方はスイスイと前を歩いている。
ご夫婦二人で山歩きするなんて、本当に素晴らしい。

途中の階段では少々息が切れたけど、なんとか頂上神社に到着。
ここは、さすがに風が吹いていたけれど、ここまでの道のりは、まったく風がなかった。
風がないので木々のザワザワした音もなく、音のない世界を登ってきた。
歩きながら、ここはどこなのか、現実世界なのか、わたしはどこにいるのか、と考える時間があった。
時々山歩きはするけれど、これほどまでに音のない世界は初めてだった。
音のない世界は、続いた。

アウトドアでは、しばしば「初めての世界」に遭遇する。
おそらく、どれだけアウトドアを経験している人でも「初めての世界」に出会わなくなることはないのだろう。
わたしたち人間が地球に追いつくことはない。

頂上神社には、たくさんのハイカーがいた。
すっきりと晴れた空の山の上で、なんだかみんな嬉しそうだ。
でも、さらにわたしを誘惑したのは、その先にある天狗岳だった。

大きな岩をよじ登ったり、滑りそうになりながら渡り歩いていかないといけない。
ちょっと間違えれば、落ちてしまいそうだ。
途中でちょっぴり後悔した。
なんとかたどり着き、振り帰ってみると、頂上神社が小さく見える。
「帰れるのかな・・」

それでも、最も高いところに立つと、「ここが西日本でいちばん高いところ!」
360℃見渡すと、本当にいちばん高いところにいる実感が湧く。
またまた「初めての世界」だ。
すごい!
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頂上神社に帰る途中で出会った人からは、「よく行ったね〜」と声をかけてもらった。
こうした場所で出会う人たちは、理屈抜きの仲間意識みたいなものでつながっている気がする。
全然知らない人なのに、旧知の仲のような、そんな感じ。
「もうダメ」と言っていた男性も頂上神社まで登ってきていた。

西日本最高峰の石鎚山は、実に楽しかった。
景色はもちろんのこと、「今、西日本で最も高いところに立っている」不思議な感じ。
でも、登ったことで浮かれていると、下山でケガしてしまうので、慎重に下りたことは言うまでもない。
ありがとう、石鎚山。

日程:2019年10月31日
行程:伊予西条駅〜石鎚山ロープウェイ下谷駅〜山頂成就駅〜成就社〜八丁坂〜前社が森〜夜明峠〜弥山〜頂上神社〜天狗岳〜来た道を戻る

距離:9.0km
時間:5:26
標高:1,982m 
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子どもの再生力が生む大きな力

まもなく11月というころ、愛媛県西予市へ「南予教育を考える集い」に行ってきた。

昨年7月に起きた西日本豪雨で被災した子どもたちの心のケアを7ヶ月間に渡って実施したことから御縁をいただき、子どもたちの回復過程を報告すると共に、絵による子どものケアについて紹介した。
会場となった愛媛県立歴史文化博物館はとても大きな建物で、ホールは教育関係者をはじめ、たくさんの方が席を埋めてくれた。

その中には昨年の大洲の子どもたちのケアに通ってくれたボランティアスタッフKさんや、ケアプログラムに参加してくれた学童保育のスタッフなども駆けつけてくれて、改めて子どもたちの心の足跡を辿りながら作品のメッセージを噛みしめる機会となった。

また、翌日はケア活動に毎月通ってくれたAさんも、わざわざ会いに来てくれた。
Aさんは、「被災したあのときは、本当に自分が無力なことを痛感しました。
私には何もできないと思っていたときに子どもの心のケアのお手伝いという機会をいただいて、これは行かないと!と。
毎月子どもたちと接して、私自身がほぐれていったと思います。
私の方が元気にしてもらいました」

藤井先生との出会い、子供たちとの出会い、ボランティア活動、

すべてが私を育ててくれたように思います。そしてかけがえのない体験です。」と話してくれた。
 

自然災害を体験したり、自分自身が心を解いた体験をすると思わず原点に立ち返ったり、本質を考えたりすることはあると思う。
自然の力の前には、どんな言い訳も通用しないし、その大きな力を乗り越える子どもの力に触れると、「自分もごちゃごちゃ言わないで、やりたいことはやる!」とでも言うようなエネルギーが生まれる気がする。

被災した子どものケアを続けて、「私たちが子どもを元気にするために行っていたのではなく、私たちが子どもたちに元気にしてもらってたんだ」と強く感じたのは24年前。
神戸の震災から1年ほどが経ったときだ。
子どもの限りない再生力に触れて、私たちは希望を持ち、心のエネルギーを充電してもらった。
このときのことをリプレイするようなAさんの言葉は、子どもの再生力が時間も空間も超えて確実に私たちのすぐ近くにあることを改めて感じさせてくれた。

さらにAさんは、ボランティアとして活躍しただけでなく、ご自身もアートワークで自分を見つめる時間を持ち、やりたかったことを再確認したようだった。
すると、ほどなく長い間考えていた事業を立ち上げた。
これにはびっくりしたが、8ヶ月ぶりにお会いした今回は、どんどん活動の場を広げてすっかりオーナーの風格が漂っていた。

そして、Aさんは「今日は雲海が見れますよ」と言って、車で山に連れて行ってくれた。
冬になると、木々の葉が落ちて広く見渡せるらしいが、 この日はまだまだ葉が茂っていて、見渡せはしなかった。
しかし、なんとか雲海が見える場所を見つけてくれて、生まれて初めて写真でも映像でもない雲海を見た。
大洲市は盆地で、雲海は珍しくも何ともないらしい。
Aさんにとっては、おそらく日常にあることなのに、昨年私が「雲海を見てみたい」と言ったことを覚えてくれていて、大急ぎで駆けつけてくれたようだ。
雲海を見ることができるとは思ってなかったし、思わぬサプライズだった。
これには本当に感激した。
やはり、人の気持ち以上に人の心を動かすものはない。

Aさんのアトリエ ヌートはこちら 

10月のあおぞらレポート

 気候が良く、一年のうちでも多くの参加者が集まる10月の「あおぞら色彩楽園」。
まずは朝の「みんなの救急法講座」からスタートしました。(10月20日:神戸真生塾子ども家庭支援センターロータリー子どもの家~大倉山公園)


みんなの救急法講座

CIMG9641 この日のテーマは、「え!まさか!子どものケガや事故」でした。擦り傷や切り傷、誤飲、打撲など、子どもの生活の中にケガは日常茶飯事と言ってもいいでしょう。
多くは家庭での応急手当で事なきを得ますが、時には青ざめる程のケガを負うこともあります。
小さなケガから大きなケガまで慌てずに対応することで大事に至らず、子どもを守ることができます。
キズの手当から、誤飲の対処、「呼吸をしていない!」といった、まさしく緊急事態までを想定してトレーニングしました。


 救急法の講習会は、様々な場で取り組まれていますが、この講座の特色は家族での参加が多いことです。
誰かの命を救おうとしている子どもたちの姿をお父さん、お母さんは頼もしく、嬉しく思いながら見守り、真剣に取り組むお父さん、お母さんの姿から子どもたちは自分の命が、そして自らの存在が大切にされていることを感じて安心感に包まれています。
安心しているときの子どもたちは、自らチャレンジして難しいスキルもどんどん身につけていきます。

 誰かがケガをしているとき、その生命が脅かされているとき、私たち誰もができることが必ずあります。
人を大切に思う気持ちは、自分を大切にする気持ちも育てます。


子どもの育ちと自由なアート

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 さて、午後からはいつもの通り、公園で「あおぞら色彩楽園」を開催しました。「あおぞら」の役割の一つは参加者が自由に表現できる環境を提供することです。これはスタートから24年間変わらないテーマです。この環境を作るには、どんな道具や画材を置いてどのようなスペースを作るかよりも、その場にいる大人がどのように子どもの表現を受け止めるか、また、子どもの絵を心のメッセージとして耳を傾けることができるかがとても重要です。つまり、人的環境が子どもたちのチャレンジを生んだり、作品をその子にしか表現できないものにしたりすることに大きく影響しています。







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 さらにもう一つ、自由な表現が子どもの健全な成長に大きな関わりがあることを発信する役割もあります。

この発信の積み重ねも、10年くらい前のことを思えば伝わっている実感がなかなかありませんでしたが、ここ最近は保護者の方々の、表現活動に取り組む子どもたちの見守り方、受け止め方がずいぶん変わってきたように思います。

容易に手に入る情報量が格段に増えたこと、教育、美術、心理など様々な分野の多くの方々の努力が実を結び始めていることがその背景にあるのかもしれません。

終了後のミーティングでも、スタッフから「お母さんがとてもゆったりと見守っていて、勉強させてもらった」という声があがることも増えました。

 

「あおぞら」も間もなく25周年。重ねてきた歩みが子どもたちそれぞれの力を伸ばす環境づくりに少しでも役立っているなら、感謝でいっぱいです。 


CIMG9694神戸みんなの救急法推進プロジェクト▶<神戸ライフセービングクラブ>、<神戸真生塾子ども家庭支援センターロータリー子どもの家>、<色彩楽園>の3つのグループによるプロジェクトです。「何より大切なものは命、そして一人一人の存在」をテーマに救急法の普及と命についての発信を続けています。 

ギャラリー
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  • 11月のあおぞらレポート〜今年もありがとうございました
プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;