
ここからロープウェイに乗って、成就駅に向かう。
朝からお天気が良くて、いろんなことが楽しみで仕方ない。
こんな良いお天気に山に登れること。
紅葉に出会えるかもしれないこと。


いやいや、山はゆっくり登ろう。
紅葉の時期だからだろう。
平日なのに、たくさんのハイカーに出会う。
時には先に行かせてもらったり、先に行ってもらったりしながら、自分のペースで進んでいく。
途中で「もうダメ。おんぶしてほしい」と言う男性にも出会った。奥さんらしき方はスイスイと前を歩いている。
ご夫婦二人で山歩きするなんて、本当に素晴らしい。
途中の階段では少々息が切れたけど、なんとか頂上神社に到着。
ここは、さすがに風が吹いていたけれど、ここまでの道のりは、まったく風がなかった。
風がないので木々のザワザワした音もなく、音のない世界を登ってきた。
歩きながら、ここはどこなのか、現実世界なのか、わたしはどこにいるのか、と考える時間があった。
時々山歩きはするけれど、これほどまでに音のない世界は初めてだった。
音のない世界は、続いた。
アウトドアでは、しばしば「初めての世界」に遭遇する。
おそらく、どれだけアウトドアを経験している人でも「初めての世界」に出会わなくなることはないのだろう。
わたしたち人間が地球に追いつくことはない。
頂上神社には、たくさんのハイカーがいた。
すっきりと晴れた空の山の上で、なんだかみんな嬉しそうだ。
でも、さらにわたしを誘惑したのは、その先にある天狗岳だった。
大きな岩をよじ登ったり、滑りそうになりながら渡り歩いていかないといけない。
ちょっと間違えれば、落ちてしまいそうだ。
途中でちょっぴり後悔した。
なんとかたどり着き、振り帰ってみると、頂上神社が小さく見える。
「帰れるのかな・・」
それでも、最も高いところに立つと、「ここが西日本でいちばん高いところ!」
360℃見渡すと、本当にいちばん高いところにいる実感が湧く。
またまた「初めての世界」だ。
すごい!

頂上神社に帰る途中で出会った人からは、「よく行ったね〜」と声をかけてもらった。
こうした場所で出会う人たちは、理屈抜きの仲間意識みたいなものでつながっている気がする。
全然知らない人なのに、旧知の仲のような、そんな感じ。
「もうダメ」と言っていた男性も頂上神社まで登ってきていた。
西日本最高峰の石鎚山は、実に楽しかった。
景色はもちろんのこと、「今、西日本で最も高いところに立っている」不思議な感じ。
でも、登ったことで浮かれていると、下山でケガしてしまうので、慎重に下りたことは言うまでもない。
ありがとう、石鎚山。
日程:2019年10月31日
行程:伊予西条駅〜石鎚山ロープウェイ下谷駅〜山頂成就駅〜成就社〜八丁坂〜前社が森〜夜明峠〜弥山〜頂上神社〜天狗岳〜来た道を戻る
距離:9.0km
時間:5:26
標高:1,982m
