3月は毎年「あおぞら色彩楽園」の開幕の月です。
「あおぞら」は、26年前に阪神大震災で被災した子どもたちのケア活動をするために出張の「おえかきやさん」として誕生し、それ以降ずっと続いているボランティア活動です。
昨年はコロナの影響もありましたが、密を作らないよう入場制限をして、参加者の距離が保てるようにアートスペースをつくりました。
毎年、冬の間は公園でのおえかきをお休みして、画材や備品の管理をしたり、ボランティアスタッフの研修をして、春の再開に備えます。
3月は、ようやく子どもたちに会えることもあって、スタッフ全員いつも心待ちにしていますし、子どもたちも保護者の方々も「待ってたよ!」と公園に集まってくれます。
そう、3月は開幕の月です。
ところが、今年はなんと春の嵐がやってきて、前夜から雨。
「あおぞら色彩楽園」は滅多に雨が降りません。26年を振り返ってもごくわずかです。
前日に雨の予報でも当日はウソのようにしっかり晴れるし、東日本大震災後に福島県に出張した時は、特別警報が出ていたにもかかわらず、開始から30分後には雨が上がって青空が出ました。
なのに、なのに、今年の開幕は雨だったのです。
いつもなら、雨のときは屋内で開催することにしていますが、昨年からのコロナ対策のため、それもできません。
あおぞらスタッフ全員、本当に張り切っていたのに、こればかりはどうしようもありません。
泣く泣く雨のため中止のお知らせを出しました。
すると、お二人の方から「工作材料を持って行こうと思ってたんですが・・」と電話が。
お二人とも、いつも色彩楽園の活動を応援してくださっている、サポート会員です。
ようやく再開なので、工作材料を持って行けると思って楽しみにしていたと聞いて、「再開を楽しみにしていたのは参加者やスタッフだけじゃないんだ」と驚いたし、ありがたかったし、「あおぞら」を後方で支えてくださっている方々のことを改めて想いました。
しかし、驚いたのは、これだけではありません。
お昼を過ぎて、 「雨さえなければ、もうすぐ今年最初の「あおぞら」が始まっていたのに」と思っていたら、また電話が。
電話をくれたのは、おおっ!なんと、Yくん!
Yくんは、2歳のころから「あおぞら」に遊びに来てくれていました。
絵の具を楽しんでいた姿は今も微笑ましく、鮮やかに思い出せます。
小学生になると、ボランティアキッズとして大活躍して、スタッフはみんなとても刺激を受けました。
そんなKくんが4月から関東の大学に進むので挨拶に行きたいと思って、と言ってくれたのです。
もう嬉しくて涙が滲むような想いでした。
すっかり大人の声になっていて、 それにも驚いたけれど、Yくんが「あおぞら」のことを覚えてくれていたのは本当に嬉しく、そしてしっかりと大人の言葉使いも頼もしく、ついさっきまで感じていた、残念でやりきれない想いは、あっという間にどこかへ吹き飛びました。
「あおぞら」が雨のために中止になったことをYくんも残念がってくれました。
誰かが一緒に残念がってくれる、喜んでくれる、悲しんでくれることは、いつも心を元気にしてくれます。
Yくんは「じゃあ、夏休みに神戸に帰ってきたら遊びに行きます」と言ってくれました。
あまりに嬉しかったので、Yくんのことをすぐにスタッフたちに連絡すると、やはり、みんな大喜び!
Yくんを知っているスタッフは、もう大学生になること、そして「あおぞら」を大切に思ってくれていることを喜んだし、知らないスタッフも2歳からきていたYくんが今も「あおぞら」のことを思ってくれていることの意味の大きさを感じてくれました。
Yくん、大学生になったらまた楽しいことがたくさん待っていると思うけど、神戸に帰ってきたときはぜひ、「あおぞら」に遊びにきてください。
スタッフみんな待ってるよ!