春になりました。あちこちで花が咲き始め、新芽や新しい葉が顔を出しています。
みんなまだ小さいけれど、とても大きなエネルギーがぎっしり詰まっていて、エネルギーをおすそ分けしてもらっている気分です。
さて、この春も小学6年生たちは卒業制作を完成させました。
毎年、チャレンジしてもいいし、しなくてもいいと話します。
6年生になったときから卒業制作を意識していたKさんは2学期に入って計画を立てたときから、あれこれ考え、悩んでいました。絵でも立体物でもいいこと、テーマはアニメでも何でも好きなものでいいこと、途中で計画を立て直すこともOKなことなどを話すと、好きな漫画にしたいと決めました。
「鬼滅の刃」は昨年とても話題になり、映画も大ヒットしましたが、Kさんは、この漫画が週刊誌で連載が始まった頃からのファンで、「描きたい」気持ちは大きかったようでした。
これは、だいたいの6年生がそうなのですが、制作の計画を立てたときには、「これだけ時間があればだいじょうぶ」と思うようです。
しかし、いざスタートすると、イメージしていたよりは多くの手間や時間が必要なことが次第にわかってくるので、途中で「間に合わないかもしれない」と大きな不安に襲われます。
Kさんも計画表を見て「だいぶん遅れてる」と少し不安を感じたときもありましたが、再度計画を見直して「次にここまでいけなかったら、持って帰って宿題にする」と新しい見通しを持ちました。
完成後も振り返って「計画していた時に思っていたことの5倍は大変だった...」と書いています。
また、Uくんもアニメのキャラクターを4点完成させました。
Uくんがこれらを描き始めたのは5年生の11月。実に一年四ヶ月に渡る作品です。
描き始めたころは卒業制作とは考えず、今までも描いていたポケモンを描き始めました。
Uくんにすれば、「久しぶりにポケモン描こう」というような気持ちだったと思います。
ところが、描いていくうちにキャラクターの配置や重ね方、バランスなどをしっかり考えて画面を構成するようになりました。6年生の2学期くらいからは、それらを考えることが、より楽しくなってきたようで、毎回とても集中して取り組みました。
もう一つ、Uくんがとてもていねいに取り組んだのは色の選別です。
90色の色鉛筆の中から、近いものを選び、必ず試しぬりをしてから色を決めていました。
90の色があると慣れないうちは却って選びにくいところもあるのですが、Uくんは決して手を抜かず、そのていねいな色選びは完成するまで続きました。
そして、最後にペンを入れましたが、Uくんもまた時間との勝負を迫られました。黙ったまま、とにかく夢中で描いていたのですが、その姿はもう近づくことさえ憚られるような迫力に包まれていました。
KさんもUくんも、長い間まっすぐに作品と向き合い、自分自身と向き合いました。チャレンジを繰り返して、よりパワーが反映されたものを完成させようという気持ちがわたしだけでなく、同じ場にいた子どもたちにも伝わっていたようでした。
また、絵を描く方法や技術だけでなく、自分自身についても多くの新しい気づきがあったようだし、それをしっかりと受け止めて、大きなステップを自分の力で上がりました。
春に迎えた新しい環境は、子どもたちを一段と大きくします。はりきりモードの4月、たくさんのチャレンジがありますように。