フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

2021年06月

6月はハテナの日で

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雨の季節。
晴れると気温も上がりますが、雨の日はちょっぴり過ごしやすくなって、雨にぬれた木々は嬉しそうでもあります。

ある日のアトリエの小学3年生Aちゃんは、「うーん、何つくったらいいかなぁ」と、並べられた材料を見て、手にとってみるものの、困った様子でした。

やがて「前みたいに何かわからないもの、作ろうかな」。
この言葉に思わず「それいいね!」と応えると、笑いながら取り出してきた布にグチャグチャと線を書き、「何かわからない!」

その後も「切ってみただけ」、「貼ってみただけ」が次々と出てきて、「何かわからない、ハテナの作品がいっぱい出てきたね」と言うとAちゃんは「そう!ハテナの作品!」「今日はハテナの日!」。


例年、5月の終わり頃から6月は子どもたちに疲労の色が見え始めます。
さらに、今年はあまりに長引く非常事態宣言の影響も重なっているようにも思います。
体調を崩したり、お友だちとトラブルになったり、その上、雨が続いて外で遊べないことも「つまんない」要因の一つでしょう。

疲労が見えるこの時期には「何かわからない」作品がたくさん出てきます。
抱えておくには苦しいものを外に出したら、何かわからないものが出てきたということなのでしょう。
何かわからないからこそ、それは重くて、心はバランスを崩し、パワーダウンします。

そんなときは「ハテナの日」。なんだかわからないものを描いたり、つくったりすることが心に抱えた重たいものを減らす手助けをします。


「わかんない」「なんかつまんない」など、病気ではないのにしんどい気持ちは、それがどんな色をしているのか、どんな形をしてるのかがとてもわかりづらいものなので、「何かわからない」作品となって出てくることが多いのです。

この「何かわからない」ものを外に向かって吐き出すことができると、心は少し軽くなって、バランスが整ってきます。

Aちゃんも最後には「相手(敵)からの応援アイテム」を作りました。

対戦相手を応援できる余裕が戻ったようです。

6月は「ハテナの日」をしっかり楽しんでもらいたいと思っています。 

5月のあおぞらレポート

今年のあおぞら色彩楽園の3月は雨、4月は開始後30分で雨。
気候も良い5月はあおぞら色彩楽園にぴったりな過ごしやすい季節。
一年で最も参加者が多い月でもあります。
二ヶ月も雨が続いていたので、あおぞらスタッフ一同張り切っていました。

ところが、このときはずっと「週末はお天気が崩れるでしょう」と、まさに非情な天気予報が続きました。平日は爽やかに晴れるのに、週末になると雨。これがずっと続いていました。
天気予報は大きく変わることはなく、前日の予報はくもり一時雨。こんな中途半端な天気がいちばん困ります。
スポーツや野外活動に多少の雨はつきものですが、子どもたちが絵を描いたり、工作したりするプログラムはひとたまりもありません。
それに、一昨年までは雨が降った時は、「あおぞら」を応援していただいている子ども家庭支援センターの体育館をお借りしていたので、開催が中止になることはありませんでした。
しかし、新型コロナウィルスの感染拡大を防止するために昨年から関係者以外の立ち入りが制限されて、今は屋内での開催ができません。
雨が降ると、中止にするしかないのです。

「あおぞら」当日の朝、天気予報を見ると、なんとか開催できそうな、くもりの予報。
よし、公園で開催だ!
 と思ったのも束の間、雨雲レーダーは刻々と変化し、午前中は激しい雨で、お昼過ぎまで続く予報に変わりました。
うーん、今月もダメなのか・・・。

雨による開催の中止で思い出すのは、26年前の阪神大震災で被災した子どもたちのケアのために行っていた、出張のおえかきやさんです。
「空とぶ子どものアトリエ」と言う名前で神戸市のあちこちを飛んでいました。
これが後に「あおぞら色彩楽園」になったわけですが、この時もやはり公園でおえかきやさんを開いていました。
ある日、朝から雨が降り続いた日のことです。
午後になっても雨は止まず、これでは子どもたちも来ないだろうと思いましたが、念のために公園に行って見ると、私たちを待っていた子が3人いました。
行くと、少し安心したような表情を見せましたが、「今日はおえかきできないね」と言うと、戸惑ったような眼で「おえかき、ないの?」。
「うん、雨が降ってるからね」。

このときの、傘をさして同じ方向を見て、ブランコの前にじっと立っていた3人の子どもの姿は、今も忘れることができません。
やはり、この場は必要なんだと実感した日でもありました。
今思えば、この子たちの姿が公園でのおえかきが今も続いている理由なのかもしれません。

5月の「あおぞら」は泣く泣く中止となりました。
3ヶ月も開催できないのは。26年間やってきて初めてです。
そして、この日神戸は梅雨入りしました。
例年より3週間も早い梅雨入りです。

fullsizeoutput_7aウィルスによる感染症が世界中で広がったり、おかしなお天気になったり、今いったい何が起きているんでしょう。
今までの「だいたい、こうなる」は、もうないのかもしれません。
雨が降ることは自然なことですが、せめて屋内に子どもが集まることができる状況にならないかと思わずにはいられません。
これから本格的な雨の季節です。
6月の「あおぞら」は、なんとしても梅雨の晴れ間が広がってもらわなければ!
 
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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;