雨の季節。
晴れると気温も上がりますが、雨の日はちょっぴり過ごしやすくなって、雨にぬれた木々は嬉しそうでもあります。
ある日のアトリエの小学3年生Aちゃんは、「うーん、何つくったらいいかなぁ」と、並べられた材料を見て、手にとってみるものの、困った様子でした。
やがて「前みたいに何かわからないもの、作ろうかな」。
この言葉に思わず「それいいね!」と応えると、笑いながら取り出してきた布にグチャグチャと線を書き、「何かわからない!」
その後も「切ってみただけ」、「貼ってみただけ」が次々と出てきて、「何かわからない、ハテナの作品がいっぱい出てきたね」と言うとAちゃんは「そう!ハテナの作品!」「今日はハテナの日!」。
例年、5月の終わり頃から6月は子どもたちに疲労の色が見え始めます。
さらに、今年はあまりに長引く非常事態宣言の影響も重なっているようにも思います。
体調を崩したり、お友だちとトラブルになったり、その上、雨が続いて外で遊べないことも「つまんない」要因の一つでしょう。
疲労が見えるこの時期には「何かわからない」作品がたくさん出てきます。
抱えておくには苦しいものを外に出したら、何かわからないものが出てきたということなのでしょう。
何かわからないからこそ、それは重くて、心はバランスを崩し、パワーダウンします。
そんなときは「ハテナの日」。なんだかわからないものを描いたり、つくったりすることが心に抱えた重たいものを減らす手助けをします。
「わかんない」「なんかつまんない」など、病気ではないのにしんどい気持ちは、それがどんな色をしているのか、どんな形をしてるのかがとてもわかりづらいものなので、「何かわからない」作品となって出てくることが多いのです。
この「何かわからない」ものを外に向かって吐き出すことができると、心は少し軽くなって、バランスが整ってきます。
Aちゃんも最後には「相手(敵)からの応援アイテム」を作りました。
対戦相手を応援できる余裕が戻ったようです。
6月は「ハテナの日」をしっかり楽しんでもらいたいと思っています。