フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

2021年10月

10月のあおぞらレポート

fullsizeoutput_116前日までの暖かい空気は一転、朝から冷たく強い風が吹く日曜日でした。

あまりに強い風でイーゼルを立てることもできませんでしたが、元気な子どもたちが集まってくれました。
今月は前日に1通のメッセージをいただきました。
10年近く前に研修でわたしの話を聞いてくださったという滋賀県の保育士Iさんからです。
 

「コロナ禍で保育をしながら今こそ園外での絵画の活動を実現しようと取り組んでいます。
改めて藤井さんの本を読みながら、やはり一度色彩楽園に伺いたいと調べたところ、明日開催されることがわかり、とにかくまず伺ってみようと思います。

どうぞよろしくお願いします。」

当日、Iさんはお嬢さんと一緒にやってきてくださいました。
他の参加者同様に受付を済ませて、絵を描いたり、ねんどをこねたりして遊んでいたようです。
Iさんの話によると、コロナにより子どもたちが室内で思い切り遊ぶことが難しく、また、園舎の工事も重なって、ほぼ毎日公園に出かけているそうです。
子どもたちの健やかに成長を支えるために、体を動かして遊ぶのもいいけれど、他の手段はないものかと思っていたところ、10年前の研修を思い出したらしく、「今こそおえかきだ!」と神戸まで足を運んでくださいました。


fullsizeoutput_118子どもの表現方法には様々なものがあります。

言葉によるものはもちろん、その表情や声の調子、泣いたりふくれたり、態度や行動など、その表現はとても素直です。
子どもの自由な表現の場を確保することは、健やかな育ちを支える上でとても重要です。
しかし、子どもたちは大人ほど言葉で表現することができませんし、感情もまだまだ発達の途中です。
ですから、「どうしてなの?ちゃんとお口で言わないとわからないでしょう!」と言われても言えないことがたくさんです。
そこで、言葉よりも子どもの心を語ってくれるのが、自由に描いた絵です。
時には鼻歌を歌いながら、時には自作の物語を語りながら、また、時には黙って色に没頭しながら、子どもは、絵で心の中に抱えた感情や欲求、願望などさまざまなものを表現してくれます。
表現することで心のバランスを取り、また明日に思い切り遊ぶエネルギーを生むのです。

思い切り体を動かして運動欲求を満たし、様々なものを発散することもとても大事ですし、時にはお母さんやお父さんに抱きついて、安心することもとても大切です。
コロナによる感染症拡大防止のために長く続く制限は、子どもも含めてやはり多くの人たちの心のエネルギーを奪っています。
あおぞら色彩楽園も、せめて月に一度は心を解放して、子どもそれぞれが持っている力を発揮してほしいと願っています。 


その日の夜、Iさんからまたメールがありました。

「今日はありがとうございました。
実際に見て、体験して、これからの保育の力になりました。

娘も楽しかったーと満足そうでした。でもまだまだ身構えている様子だったので、本当は何度か連れて行ってあげたいなぁと思いました。

離れてはいますが、藤井さん、ボランティアのみなさんのお働きを心から応援しています。

ありがとうございました」
子どもが毎日通う保育園での様々な取り組みは、 子どもたちにとっても、保護者にとっても、先生方にとっても、また他の保育園にとっても、とても大切だと思います。
Iさん、どうぞゆっくりがんばってください。
応援しています。 


9月のあおぞらレポート

珍しくお天気の心配のない休日でした。
「今日は晴れてよかったです」と、たくさんの子どもたちが遊びにきてくれましたが、その中にすっかり大人っぽくなったRくんの姿が!
小学生の時から遠くから熱心に通ってくれて、小学校を卒業するときには、お母様からとてもていねいなお手紙をいただきました。
その後中学生になってからは、あまり顔を見られなくなっていました。
 
Rくんは高校生になっていました。
でも、絵の具を手にしている時のニコニコした笑顔は今日も変わりません。
お母様はお手紙で近況を知らせてくださって、
「Rの絵を気に入ってくれたグループ(しあわせあーと)が作品を小物のデザインとして使ってくれ、商品を販売されています。
その売上の一部をいただきました。
ほんの気持ち程度になりますが、あおぞら色彩楽園さんにと思いました。」
また、お母様のお手紙はこう続いています。
「彼が小さい頃、療育と介助に追われ、かわいいと思うことができませんでした。
あの時(あおぞら色彩楽園で)スタッフのみなさんの声がけは神様の声でした。
ありがとうございます。
やっと今になって、かわいいと思えるようになりました。
Rは今日をとても楽しみにしていました。
またお世話になります。」
 
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障害を持つ子どもを「どうしてもかわいいと思えない」というお母さんたちの心の叫びは時々届きます。
結果としては一時期であることが多いようですが、これは、もう、当たり前の、そして本当に苦しい叫びでしょう。
心の叫びを聞かせてもらうと、その苦しみの大きさを感じると同時に、苦しみを外に出してもらえたとちょっぴり安心します。
お母さんたちが苦しみから逃げず、真正面から戦っていることを感じます。 

しかし、その子たちの表現を受け入れて、周囲の人たちにも支えられて、成長するうちに、我が子の作品を誇らしく思うお母さんたちもたくさんいらっしゃいます。

9月はRくんが自分の作品で手にした対価をあおぞら募金としていただきました!
あおぞら募金は、どれも本当にありがたい、嬉しいものですが、ちょっぴり特別な応援をいただいたこと、もう何年も経っているのに、Rくんがあおぞら色彩楽園を覚えてくれていたことをスタッフみんなで喜びました。
活動を続ける、何よりのエネルギー源です。
(本文と写真は関係ありません)
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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;