フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

2022年12月

11月のあおぞらレポート

CIMG9991今年最後の公園での「あおぞら色彩楽園」は、青い空にイチョウの黄色が鮮やかに映える秋色の日曜日でした。

毎年11月のあおぞらの頃には、公園内の木々は色づき、赤やオレンジ色、黄色、黄緑色、緑などなど、鮮やかなトーンから落ち着いたトーンまでが見られることはもちろん、それらが混ざり合った色の落ち葉を拾って歩くこともできますし、自分の顔より大きなプラタナスの葉っぱを手に走る子どもの姿が見られます。


公園のあおぞらスペースで子どもたちがのびのびと絵を描いたり、立体物をつくることに集中したりする姿は、もういつもの光景です。
絵を描いたり、何かをつくったりしていると、私たちは色や形、手ざわりなどで眼に、耳に、鼻に、手に、身体中に刺激を受けます。

また、描いたりつくったりに加えて、例えば落ち葉をみつけて拾うと、その色には眼から刺激を受けますし、葉っぱの手ざわりを感じます。匂いも感じるかもしれません。
公園では風を体で感じるし、木々が生み出す音を聞いたり、土や砂を手で感じる子どももたくさんいます。まれに落ちてくる雨の冷たさなどを感じることもあるでしょう。
おひさまの陽を浴びることも体にとって重要ですね。

つまり、外で遊ぶことは絵の具やねんどなどの感覚刺激だけではなく、その環境から様々な五感への刺激があるという大きなおまけがついているわけです。
子どもが様々な感覚の刺激を受けることはとても大切で、脳の発達と深い関係があることが知られています。

また、五感だけでなく、自分の身体の傾きやスピード、回転を感じる感覚もあります。
鉄棒で回ったり、ブランコに乗っているときも、眼球運動と連動しながら、状況に合わせて身体を変化させているので、転落せずに遊ぶことができます。
時々受付でブランコやすべり台を気にしている子どもに「まずはブランコで遊んでから絵を描きに来てもいいよ」と声をかけるのは、「ブランコに乗りたい」という欲求や運動欲求を満たして、感覚刺激のウォーミングアップもしてからの方が落ち着いた取り組みを見せるからです。

11月のあおぞらは朝は雨が降り、時折強い風が吹くこともあったこともあってか、参加してくれた子どもはいつもより少ない人数でした。
けれども、時には身体を動かして、
自分のペースで自発的に作品に取り組む充実感を味わって、子どもの心身の成長にとって大事な刺激を受けて、お父さん、お母さんに作品を受けとめてもらえて、子どもたちは実に悠々と過ごしていました。

残念なことに、今年も受け入れ人数を制限したり、屋内での開催が難しく、雨が降ったときには開催を中止にせざるをえないなど、コロナ感染予防の影響を受けました。
それでも月に一度の開催を楽しみにしてくれている子どもは多く、わたしたちは毎月子どもたちに多くのことを勉強させてもらいましたし、また、元気にもしてもらいました。
ありがとうございました。
次のあおぞらは2023年3月。
春になったら再開です。
それまでみんな元気で!

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子どもたちからのギフト

「公認心理師」と名乗れるようになりました。
国家試験に合格しただけでは名乗れませんでしたが、ようやく登録が完了して、プロフィールに書き加えることができました。

公認心理師は、心理職唯一の国家資格です。
医療福祉や教育などの分野において、心理学の専門的な知識と技術をもったうえで、心理に関する支援や指導、教育および指導を行うことが、その役割です。

わたしはGルート(現任者ルート)で受験したのですが、これは2017年9月に公認心理師法が施行されたことに伴う、5年間限定の経過措置、いわゆる特例の受験区分で、すでに心理職として働いている人などのためのルートです。Gルートは今年の9月で終了しました。

Gルートで受験するためには、公認心理師法に記載されている所定の要件を満たすことが必要です。

平たく言うと、現任者講習会(4〜5日間)を受講していること、そして、2012年9月16日から2017年9月15日までの間に文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、心理職として働いた期間が5年以上あることが所定要件です。

試験に合格したことは、もちろん嬉しいことです。
しかし、もっと嬉しいのは阪神大震災から28年の中で、この受験資格を満たせたこと、つまり、オフィシャルに認められるメンタルヘルスケアに関わることができたことです。

1995年の神戸の震災を被災者として、支援者として経験し、毎日子どものケアのための出張のお絵かきやさんに奔走しました。
当時わたしは専門学校で社会体育学科の講師でした。体育科の学生時代から「子どもの健康」がテーマで、心理学部を卒業したわけではありません。
「おんぶして!」「抱っこして!」と言う子どもたちを体ごと受け止め、子どもたちが描く絵からたくさんのことを学びながら、同時に机の上で学びながらの日々でした。
この活動をきっかけに、多くの方に出会い、多くの貴重な機会をいただきました。
今はすでに鬼籍に入っておられる長尾圭造先生にはコソボ紛争で被災した子どもたちをはじめ、実に様々な方の絵によるケアに取り組む機会をいただきましたし、また、教育、保育などの関係の方々からは全国いろいろな場所で子どもの絵と心について、お話させていただく機会も与えられました。
お話しするには、子どもの作品を横断的に、縦断的に検証することが必要です。
東日本大震災で被災した子どもたち、西日本豪雨で被災した子どもたち、学校に行っていない子どもたち、元気に登校している子どもたち、本当にたくさんの子どもたちに出会う機会を与えていただきました。
また、幸運にも阪神大震災から20年の2015年には、日本児童青年精神医学会より実践奨励賞もいただきました。
そうした機会を与えられたことに感謝しながら、そして、子どもたちから教えてもらった大切なことを伝えれる機会と感じながら、とにかく全力で取り組みました。
もちろん、当たって砕けたこともありました。

こうしたことから児童養護施設や児童相談所の一時保護所での活動につながったり、医療機関でアートセラピーに取り組ませていただいたりしたことが、公認心理師試験の受験資格を満たしました。
これは、今考えても本当に恵まれていたと感謝せずにはいられないし、多くの方々、とりわけ、これまで出会った子どもたちから贈られたギフトではないかと思っています。

これまで出会った子どもたちから「ちゃんと準備してやったから、しっかりやれよ!」と言われている気もします。
これまで会った子どもたちが、国家試験にトライするというチャンスをくれたのです。
これまでも、これからも、子どもたちはわたしに大切なことを気づかせてくれるにちがいありません。
ギフトが気になるクリスマスシーズンですが、今年はもう大きな、大きなギフトを受け取りました。

ありがとう。 

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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;