ようやく暑さも和らいできた3連休の中日、9月のあおぞら色彩楽園を開催しました(9月17日 大倉山公園)
この日は開始前にも受付に長い列はできず、いつもより少ない人数で、終始穏やかなアートスペースになりました。
そんなのんびりムードの中、2時間の間休みなく一つの立体物に取り組んでいた男の子がいました。
ペットボトルのキャップが転がるように、坂道にしたコースを作り、何度もキャップを転がして、着地する場所を研究していました。
コースの長さや角度を変えると、キャップの着地地点は変わります。
また、キャップが転がるスピードも変わり、大きく跳ねたり、跳ねなかったりします。
その男の子は、何度も繰り返しコースの角度などを変えて、思う場所にキャップが入るように考えていました。

fullsizeoutput_581色を使った表現が感情を表すことに深いつながりがあることに対して、工作は論理的な思考を必要とします。
左脳が働き、文字や言葉から認識し、論理的に考える・分析する力や継時的な処理をすることにも関わります。
文字を書いたり、計算したりすることは左脳の働きですし、、アートに関して言えば、観察力や写実的な表現に関係します。
キャップのコースをあれこれ考えていた男の子のように、コースの長さや角度を変えて、実験を繰り返すことは数学的なセンスを磨いているとも言えるでしょう。
ですから、工作に取り組むこと、しくみなどを考えることは単に作りたいものを形にしているだけではなく、様々な力を育てています。
ここに、作ろうとしているものとそっくりに作ることだけが、子どもがアートに取り組むことの意義ではない理由の一つがあります。

そう、「表現すること」は、平面の作品であれ、立体の作品であれ、子どもの様々な力を育てます。
子どもたちが自発的に描いたり作ったりすることで、楽しさを感じながら力を育てていることは言うまでもありません。
しかも、描きたくて描く、作りたくて作っているときには吸収するスピードも早く、高いレベルにチャレンジする意欲も十分です。

fullsizeoutput_578いやいやながら歴史の年号を覚えようとしても、なかなか覚えられませんが、大切な人の誕生日はすぐに覚えますね。
それと同じで、作りたくてつくっているときの子どもは、応用すること、関係性を理解することなどのスピードも早く、自らグングン力を伸ばします。
作品が完成した時の充実感もひとしおです。

しかし、子どもたちが「やってみたいこと」は、誰もが「すごい!」と声を上げるような作品ばかりではありません。
組み合わせた空き箱のパッケージが見えなくなるまでテープを貼りつくしたい、ありったけのトイレットペーパーの芯を全部つなぎたい、大きな画用紙全部をぬりつくしたい、などなど、チャレンジは実に様々です。
それらを自分で「やってみること」には、とても大きな意味があります。

季節は秋。
本を読むにも、スポーツやアートを楽しむにも良い季節です。
子どもたちには、それぞれのやってみたいことに、いっそうチャレンジしてほしいと思っています。