フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

2024年04月

4月のあおぞらレポート

春は雨が多い季節ですが、まさか2ヶ月続けて「あおぞら」が屋内開催になるとは思ってもいませんでした。
「あおぞら」を開催する第3日曜日は、これまで本当に雨が少なく、雨の予報が出ていても、なんとか夕方まで降らずに済んだりすることがほとんどでした。
しかし、3月のレポートでもご紹介した通り、今は神戸真生塾の体育館をお借りできるので、残念な気持ちも半分くらいです。

晴れていても雨が降っても、子どもたちはとても大きなパワーを見せてくれます。
あおぞらスタッフお手製のお絵かきボードに貼られた半切サイズの画用紙に立ち向かう子どもは多く、ダイナミックで元気いっぱいの線が現れることもありますし、たくさんの色を絞り出したり、混ぜたりして大きな画面をぬりつくす子どももいます。
3歳のYちゃんは、トレイに絵の具を入れることにも集中しながら、この半切サイズの画用紙4枚の作品を描き上げました。集中した時間は実に90分あまりです。
割合から言うと、彼女の体の大きさからすれば、この画用紙の大きさは大人であれば畳2畳分くらいはあるでしょう。
小さな手に大きなハケを持っている姿は、まるで私たちがホウキを持っているかのようです。
それほど大きな画用紙を前にダナミックに絵の具をぶつけて、しかも4枚も集中して描き上げるパワーの大きさは、もう想像することすらできないくらいの大きく、エネルギーの高さは子どもならではです。
実際にYちゃんは4枚目の作品の途中からあくびがとまらず、持っている力を使い切ったようでした。
それでもハケを持つ手を止めず、「できた」と自分で思うまで絵の具と向き合いました。

CIMG9915もちろん、手頃なサイズに集中して絵を描く、色をぬる子どもたちも持っている力を十分に発揮して、大きなパワーを見せてくれます。
Yちゃんの大きな作品は、そのパワーがどれだけ大きいかがよくわかる一例です。

気がつけば眠り込んでしまうギリギリまで遊びきって、パワーを放出することができるのが子どもが持つ生命力の大きさです。
毎日のように新しい体験があるのが子どもの日常です。
それでも、子どもたちは大きなパワーでその壁を超えていきます。

大人が考える小さな世界に子どもたちを閉じ込めてしまわないように、そして力を使い切って帰ってきた時には安心して休めるようにすることが大人の大事な役割ではないかと思っています。
(写真と本文は関係ありません)

子ども・こころ・アートを学びませんか?

阪神・淡路大震災で被災した子どもたちの心のケア活動をきっかけに誕生した色彩楽園。
おかげさまで29周年を迎えました。

これまで多くの子どもたち、保護者の方々が色で、形で「心の言葉」を発して元気を取り戻しました。
色彩楽園のボランティア活動「あおぞら色彩楽園」でも毎月多くの「心の言葉」を語る作品が誕生しています。
子どもそれぞれのペース、スタイルを尊重しながら作品が発する「心の言葉」に耳を傾け、ありのままに受け止めることは、子どもの健康な育ちを支えるためにとても大切です。
あおぞら色彩楽園ボランティアスタッフは、自由なアートスペースをつくり、子どもが心を解放できるように関わり、生まれた作品を「心の言葉」として受け入れています。
心の言葉を聞くことを積み重ねていると、作品が発するメッセージが伝わってきます。
そうして毎月公園で子どもたちを迎えていると、心に抱えた苦しいものの重さを感じたり、心が元気になる過程を共に歩むことができたり、元気を取り戻してまた一歩を踏み出したことを保護者と共に喜びあったり、充実した時間を共に過ごせていることを感じています。

すべての子どもたちが「健康であってほしい」。
これが色彩楽園の願いであり、健康な成長をサポートすることが目標です。
あおぞら色彩楽園も子どものアートクラス「アトリエ」と共に健康な育ちの土台を育てるお手伝いをするための自由なアートスペースです。
心にダメージを受けた子どもにも、毎日元気に過ごしている子どもにも大切な、心の表現の場です。

子どものアートセラピーを学びたい方、
子どもの健康な育ちを支えたい方、
また、集団の教育の場ではなかなか一人ひとりの自由な表現の場を提供することが難しいけれど、どこかでそうした場に関わってみたい、心の中から生まれる子どものアートに触れてみたいという方、
ぜひ、一度「あおぞら色彩楽園」へ!
そして、私たちと一緒に子どもたちの健康を支える活動に関わってみませんか?https://www.shikisaigakuen.com/volunteer/join


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旅立ちの春

 春は別れと出会の季節。

 新しい世界に飛び立って行ったり、たくさんの「初めまして」でいっぱいです。アトリエも卒業した子どもたち、新しく迎える子どもたちで少々環境が新しくなります。


 例年、小学6年生には2学期の途中で卒業制作に取り組むこともできることを伝えます。やってもいいし、やらなくてもいいこと、挑戦するならお家の人も私たちも全力で手伝うこと、途中で他のことがやりたくなったら、それもOKなことなどを話して、それぞれが自分で考えて自分で決めます。そして、「やってみる」と言うと、どんなことにチャレンジしたいかを聞き、一緒に計画を立てます。

 実にたくさんのアニメやゲームのキャラクターを長い間描き続けてきたFさんは「やってみる」と小さい声で、しかし力強く言ってくれました。3月に完成するように計画を立てて、資料を選び、まずはラフスケッチをていねいに描き、そして水張りしたパネルに描くことをスタートしました。


川嶋楓実240309-2 Fさんは好きなキャラクターたちと対話しているかのようにていねいに描き進めました。背景もしっかり考えて、「デコるのがうまい友だちがいて、参考になると思った」と教えてくれました。3月に完成したときは解放されたようなホッとした様子で、ようやく笑顔が見られました。

 好きなものを好きと感じる、言えることはとても大切なことです。自分が自分であることの土台とも言えます。また、いわゆる「推し」のキャラクターたちは、その子の応援団でもあって、特に思春期の子どもたちには、とても大切な存在です。キャラクターたちは、わからなくなったり、困ったり、やりきれない気持ちを抱えてしまったりしたときにいつも暖かく出迎えてくれます。


 そして、アトリエを卒業していった子どもたち、みんなありがとう。自分で決めて、自分がやりたいことに挑戦して楽しんだ日々は、きっと新しい世界でも大きな翼となるでしょう。これからも自分が感じていること、欲していることを素直に感じて、ますます大きく広がっていく世界を楽しんでください。

いつも近くに「応援団」がいるからね!

ギャラリー
  • 4月のあおぞらレポート~あおぞら色彩楽園スタート!
  • くますけがひもとく色彩楽園30年〜子どもたちの声から生まれたあおぞら募金
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  • くますけものがたり6〜あおぞら存続の危機も!?
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  • 2月のあおぞらレポート〜救急法研修
  • 1月のあおぞらレポート〜災害と子どもの心のケア
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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;