フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

2024年11月

くますけものがたり4〜災害と子どものケア

くまものがたりロゴ4

こんにちは!くますけです!

1995年の阪神・淡路大震災での子どもの心のケア活動から色彩楽園は神戸に誕生しました。

その後も子どもの心を解放するための公園のアートスペースは続き、多くの子どもたちを迎えました。これが今の「あおぞら色彩楽園」で、震災直後と同じくボランティアで活動を続けて、新年を迎えると満30年になります。

30年の間、「あおぞら色彩楽園」を続けながら、各地で起きた災害で被災した子どもたちの元へも駆けつけました。

・1995年 阪神・淡路大震災(兵庫県西宮市・芦屋市・神戸市)
・1997年 神戸市児童相談所一時保護所(兵庫県神戸市)
・1999年 コソボ紛争(大阪府堺市)
・2004年 豊岡市台風23号(兵庫県豊岡市)
・2009年 佐用町台風9号(兵庫県佐用郡佐用町)
・2011年 東日本大震災(山形県・福島県)
・2014年 広島豪雨災害(広島県広島市)
・2018年 西日本豪雨災害(愛媛県大洲市)


1997年からは神戸市児童相談所(現神戸市こども家庭センター)一時保護所で生活する子どもたちと「おえかきケア」の時間を持ち、1999年には激化した紛争から親族を頼って日本に避難したコソボの子どもたちのケアに関わりました。紛争を経験した子どもたちのダメージはやはり大きく、2001年春に母国に帰国するまで、毎月一緒に絵を描いて過ごしました。


DSC00531そして、世界中が驚いた2011年の東日本大震災。

信じられないくらいの大きな津波により、とても多くの方々が犠牲になり、また、原子力発電所の事故も起こりました。

そんな中、震災から2週間後には「おえかきやさん」として避難所に向かい、翌年からは福島県で毎月おえかきやさんを実施する機会をいただいたんです。

このときは「くますけものがたり2」でもご紹介した通り、くまボラさんたちの手によって400体ものくますけぬいぐるみが集まりましたよー。


また、2018年の西日本豪雨により怖い想いをした子どもたちとも出会いました。

あのときは神戸でも本当にたくさんの雨が降り続いて、「この雨、本当に止むのかなあ」と思ったくらいです。


こうした活動が評価されて、2015年には日本児童青年精神医学会より実践奨励賞をいただきました。表彰式にはぼくも一緒に行きました。

どこで起きた、どのような災害でもスタッフから聞いたのは、子どもたちが次第に心を解放して元気を取り戻していく姿に「私たちが元気にしてもらった」という声です。

みんなのパワーは本当に大きくて、ぼくも元気をもらいました。

子どもも大人も心のエネルギーを取り戻すと街も元気になっていきます。

これは、きっと、この先も変わりはないんだろうと思います。


これらの活動はどれも多くの方々のご支援をいただき、実現しました。

子どもの心の健康を大切に考える人たちがたくさんいることもまた、本当に嬉しく、感謝でいっぱいです!

10月のあおぞらレポート〜これがぼくだ!

101_1266長かった夏が終わり、ようやく青空の下での「あおぞら色彩楽園」となりました。

気温は下がって、朝は肌寒いくらいでしたが、すっきり晴れて明るい秋の一日でした。

この日、何枚か登場したのは絵の中に作者の名前が書かれた作品です。

子どもの絵の中に名前が登場することはよくあることで、珍しくはありません。

しかし、最初から名前が入ることはあまり見たことがありません。

何枚か絵を描いたり、立体作品に取り組んだりした後に力強く作者の名前が登場します。


作品の中に名前が出る時に共通しているのは、子どもが初めからリラックスしていたわけではないようだったということです。

工作スペースで材料を少々乱暴に扱ってみたり、絵の具を混ぜたり、水を足して流したりしてみたり、そうしたことも許されるのか、受け入れられるのかを確認しているかのような行動から始まります。


そして、それらが積極的に受け入れられ、そうしてみたい気持ちが受け入れられるることが確認できると、子どもたちはようやく本当にそのときにやってみたいことに取り組みます。

このときの「やってみたいこと」は、日頃はトライする機会が少なく、お母さんたちは「こんなことがやってみたかったなんて知らなかった」とおっしゃることもしばしばです。


描きたいように描けたとき、やってみたいことをやりきって満足感を感じるとき、絵の中に作者の名前が登場します。

子どもの中には満足感だけでなく、自信も生まれていて、「これでいいのかな」、「こんなことしたら何か言われるかな」などの不安はどこかに行ってしまっています。

この日の小学1年生Hくんの作品も進むにつれて、どんどんダイナミックになり、最後の絵には大きく名前が登場しました。それは、まるで「これがぼくだ!」と言わんばかりでした。


子どもたちは様々な顔を持っています。
繊細で引っ込み思案な面があるところも、ダイナミックに表現ができるところも、一見正反対のようですが、どちらもその子の顔にちがいありません。

また、繊細な表現をしたいときもあれば、ダイナミックな表現がしたいときもあります。

自由なアートスペースで心が開放されたとき、子どもは新しい顔を見せてくれます。

どんな一面を見せてくれるのか、その点も楽しみにしていただきたいと思っています。
(写真と本文は関係ありません)

ギャラリー
  • 11月のあおぞらレポート〜今年もありがとうございました
  • くますけものがたり4〜災害と子どものケア
  • くますけものがたり4〜災害と子どものケア
  • 10月のあおぞらレポート〜これがぼくだ!
  • くますけものがたり3〜あおぞら色彩楽園誕生!
  • くますけものがたり3〜あおぞら色彩楽園誕生!
  • くますけものがたり2〜くますけが被災地に!
  • くますけものがたり2〜くますけが被災地に!
  • くますけものがたり2〜くますけが被災地に!
プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;