フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

あおぞらレポート

10月のあおぞらレポート〜絵の具たのしい!

 ようやく秋らしくなって、過ごしやすい気候になってきました。10月のあおぞら色彩楽園会場はたくさんの子どもたち、保護者の方々の熱気に包まれました(10月19日 神戸真生塾子ども家庭支援センター)。


CIMG1138 10月、11月のあおぞら色彩楽園は30周年スペシャルです。

絵の具スペースには10年ぶりに立体画用紙を登場させました。色とりどりの四角いモチーフが並んだり、普段は描けない面を見上げながら絵の具をぬったり、子どもたちのアイデアで楽しい作品になりました。平面にはない世界が広がるのが立体画用紙です。


 自由に絵の具が使えることは絵の具の楽しさを引き出します。

子どもたちは探究心を持っているので、「この色とこの色を混ぜたらどうなるんだろう?」

「どうして絵の具を混ぜても色が変わんないのかな?」

「水を混ぜたら、雨みたいに流れちゃった!」

などなど、様々な使い方に自らトライします。

自発的なトライなので、「なぜ?」「どうなる?」などはとても深く、その結果がもたらす発見や驚きは強いインパクトを生みます。

思わず「うわ!」「こんなんになった!」「見て!」といった声が上がるとき、脳は活性化し、知的好奇心はふくらみ、持っている能力はフル回転!


 こんなに楽しい絵の具を「こうやって使わないとダメ!」と決められてしまうと、楽しさはなくなり、苦しいばかりです。

そればかりか、脳は快感を感じませんから「絵はきらい」、「絵の具はイヤ」と感じる体験だけが残ってしまいます。

私たちは知らず知らずのうちに自分が「知っている使い方」以外の使い方に否定的になってしまいます。

 特に対象が子どもの場合はその傾向が強く、アーティストが豪快に絵の具を撒き散らしたり、高いところから落としたりすることには「そんな使い方しちゃダメ!」とは思わないのに、子どもたちだと否定的になってしまいがちです。「知らない使い方」を見たときに「すばらしいアイデア!」「すごい発想力!」と受け止めたいですね。


IMG_5730 使いたいように使っていると、いつのまにか絵の具の特性を理解して表現に応じた使い方を身につけます。体験を通じて身につけているのでしっかりわかっているし、オリジナリティも加わって、その子どもならではの作品が生まれます。

この日絵の具をのびのびと楽しんでいたのは、0歳の小さい参加者たちも同じでした。小さい人たちの自由さもまた、子どもたちを刺激します。


 アートは楽しい!そのことをできるだけ多くの人たちに体験してもらえれば何よりです。

「楽しい!」は子どもの様々な力を伸ばします。

あおぞらレポート〜2025.9.21

 長く続いた夏でしたが、急に涼しくなりました。9月のあおぞら色彩楽園は春にご案内した通り屋内開催となりました(9月21日 神戸真生塾子ども家庭支援センター)

昨年までは天候不良や熱中症警戒アラートが発出された場合のみ屋内で開催していましたが、屋内会場はどうしても公園よりも参加者が少なくなります。しかし、最近の夏の厳しい暑さを考えると、夏の間は屋外での開催が難しく、屋内で開催せざるを得ません。

活動開始から30年の間、目の前にどれだけ高い壁が現れても決してひるまないあおぞらスタッフは「だったら屋内ならではの魅力を生み出そう!」。


 屋内開催の長所は風や気温などの影響受けずに取り組めるところです。参加者が少なくなることもネガティブな要素ではなく、一人ひとりとじっくり関われるチャンスです。

この日も参加してくれた子どもたちにじっくり関わり、保護者の方々ともゆっくりお話しすることができました。

びっくりするほどたくさんの絵を描いた男の子もいましたし、終了時間前に声をかけると「えー、絵の具もしたかったのにー」と言ってくれた女の子もいました。

それぞれが自分で選んだ画材、素材、材料、色や形を楽しむ姿は、誰もが堂々としていて、「これがわたし!」と言ってくれているようでした。


 けれども、この日いちばんのトピックスは、「大人のカラーヒーリング」スペースでした。大人用に別に画材を置いたテーブルを用意できたのは屋内会場ならではです。子どもたちが描いたりつくったりしている間、このテーブルでお父さん、お母さんも色を楽しんでもらおう、集中してもらおうと新しく設置しました。

ぬりえに取り組み始めていたお母さんたちに<はみだしOKです>と声をかけると、「え~、はみだすのはやだなぁ」

<では、はみださずにぬりましょう>


 お母さんたちは、すぐに自分の目の前にある色に集中していて、しばらくするとテーブルは心地よい表現エネルギーに包まれていました。これは子どもたちが夢中で作品に取り組んでいる時にも時々生じるものです。会場全体を見渡すと、大人のテーブルから発せられる表現エネルギーと子どもたちのスペースから生まれている穏やかな空気とが調和良く受け止め合っているようで、なんとも言えない心地よい空間ができあがっていました。

時間中ずっとぬりえに取り組んでいたお母さんのおひとりは「もう一心不乱に(色を)ぬっていました。時計なんて見ませんでした!」と、とても充実した笑顔を見せてくださいました。


 色は光のエネルギーです。画材を使うと私たちの内面にあるさまざまなものが色になって心の外に出てきたり、そのときに必要な色が私たちをリラックスさせてくれたりもします。ぬりながら頭に浮かんでくること、思い出すことも問題解決のためのとても大事な鍵です。


 保護者のみなさま、屋内開催の際にはぜひ「大人のカラーヒーリング」スペースへどうぞ!保護者の方々も子どもたちも「あおぞら」でスッキリしてもらえれば、何よりです。

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7月のあおぞらレポート

 今年の夏の暑さは、またいっそう危険な厳しさです。

連日、熱中症対策が呼び掛けられていますし、とうとう高校野球も暑さ対策として、午前と夕方の二部制となりました。

この、とんてもない暑さによる危険を回避するため、7月のあおぞら色彩楽園も屋内で開催しました(7月20日 神戸真生塾子ども家庭支援センター)


 以前は思い切り色水を撒き散らしたり、絵の具で暴れたりする子どもの姿があおぞら色彩楽園の夏の風景でしたが、熱中症警戒アラートが発出されるようになると公園での開催が難しく、開催を中止することが増えてしまいました。

 そこで、今年から熱中症警戒アラートが出ていなくても、雨が降っていなくても7月、9月(8月は大掃除のためお休み)を屋内開催として年間計画を組みました。

予想通り、7月は過去最高平均気温を記録し、昼間は公園で遊ぶ子どもたちもあまり見なくなりました。


CIMG0640 屋内開催となった7月は「外ならダメだけど、中ならこの子もだいじょうぶです」と言って来てくれた赤ちゃんの参加もありました。

風を感じたり、季節ごとに変わる木々の色を楽しんだりすることは屋外ならではの楽しみですが、屋内の方が集中できる子もいるでしょう。


 また、この夏から屋内会場には、色の癒しの力を感じてもらうきっかけになれば、と思って「お母さんのカラーリフレッシュ・スペース」を作りました。

お母さんたちに声をかけようかと思っていましたが、気がつくと、ぬりえに取り組んでいるお母さんがいらして、そのまま集中してもらいました。

細かいぬりえをぬりきって、「本当は途中でイヤになったんですけど、全部ぬりました。自分との対話の時間でした」と話してくださいました。

思わず<あきらめずにぬりきったんですね>と言うと、「あ、そうですね。そんなんこと思ってませんでした。そっか~」。


 元気に色水を撒き散らす子どもたちの姿が見られなくなった夏は、やはり寂しさもあります。 

しかし、涼しい屋内で工作に取り組んだり、絵の具を楽しむ子どもたちの姿を見ていると、この先は、屋内が夏の遊び場としてスタンダードになっていくのかしらと思わずにはいられませんでした。

9月も屋内で開催します。

6月のあおぞらレポート〜まずは楽しんで!

前日まで降っていた雨は朝にあがり、無事に公園での開催となりました。
気温は上がりましたが、アートスペースにはゆっくりと親子が集まりました(6月15日 大倉山公園)。
この日は参加者も少なく、のんびりムードだったので、何名かのお母さんに声をかけて絵の具をさわってもらいました。

CIMG0416好きなものを描いていい、好きな色をぬっていい、描きたいように描いていいよと言うのが「あおぞら色彩楽園」での約束ですが、しかしこれはそう簡単ではありません。
大きくなるにつれて、対象物と似ていないといけない、何を描いたのかわかるものでないといけない、と思っている子どもは少なくありません。
そして、これは大人であれば、なおさらそうした想いは強くなります。
この日声をかけたお母さんたちも「好きに描いていいって難しいですね。子どもが『何描いたらいいん?』って言ったら『なんでもいい』って言っちゃうけど」と話されたお母さんもいらっしゃいました。

それでも、お子さんが好きだと言うキャラクターを描くことに取り組んだり、とにかくぬりたい色を選んで、色が広がっていくことに没頭したお母さんもおられて、最後には「楽しかった!」と笑顔を見せてくださいました。

子どもたちが自由に表現して心を解放するには、描きたいように描く、ぬりたい色をぬることはとても大切です。
しかし、誰が見てもわかる「何か」を描かないといけないと思っていると、心は解放されません。
むしろ、どんどん自分をしばってしまって、苦しくなるばかりです。
描くこと、色をぬることが楽しいと感じるのが大切な第一歩。
それにはお父さん、お母さんも絵の具やクレヨンをまずは楽しんでいただきたいと思っています。
大人も子どもも思い切りぬりたい色をぬりにきてくださいね。

5月のあおぞらレポート〜まずは絵の具を楽しんで!!

 雨が心配された5月のあおぞら色彩楽園。天に願いが届き、当日は良いお天気になりました(5月18日 大倉山公園)


 ここのところ、あおぞら色彩楽園には偶然公園い遊びに来た人たちの参加が目立ちます。

「これは何のイベントですか?」

「申し込みがいるんですか?」と興味を持ってくださる方がたくさんです。
30年以上続いている活動だと知って「30年!すぐ近くに住んでいるのに知りませんでした!」と驚かれる方もいらっしゃいます。


CIMG0274初めて参加される場合は、お父さんやお母さんがついつい、あれこれ口を出してしまいがちです。
これは、「言わないと、この子が困っちゃう」という心配からくるのでしょう。

それでも、子どもたちは思うように描いていいことがわかると、元気いっぱいです。
3歳のSちゃんも初めは緊張していましたが、次第に解放されて、4枚目の絵を描くころには驚くほどの躍動感がありました。


子どもが絵を描こうとしているとき、大人はつい絵の具や筆の使い方を指示したり、「おててにぬってペッタンしてごらん」と言ってしまうことが少なくありません。


子どもたちはまずは、好きな色をお皿に出すこと自体に楽しさを感じているし、絵の具が水に溶けたり、混ざると色が変化することに知的好奇心を刺激されています。

そんなとき、とにかく筆で線や形を描くことを急がせてしまっては、知的欲求は満たされません。

また、絵の具の使い方にしても、絵の描き方にしても、大人から言われた通りじゃなきゃいけないと思っている子どもは「次はどうするの?」と何度も聞きます。

そして、大抵の場合、あまり集中しないまま「もう絵の具やめる」と言って、他の遊びを始めます。
自分のペースで、やりたいようにやれていないからでしょう。

しかし、描き方を決めつけられずに自分でやりたいようにやっていても、なんだか楽しめないときもあります。

そんなときは心に疲労がたまっているときです。


どの子も新学期のスタートをがんばったので、6月は子どもたちに疲れが見えるときです。

ぬりたい色を思い切りぬって、絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜることも楽しんで、心に抱え込んだ疲れを外に出してもらいたいと思っています。

ギャラリー
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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;