フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

あおぞらレポート

1月のあおぞらレポート〜災害と子どもの心のケア

<阪神:淡路大震災特別企画>

災害と子どもの心のケア~クレヨンが心のおくすりに


1月17日、神戸は阪神・淡路大震災から30周年を迎えました。
30年という月日は長いようでもありますが、「あの日」のことは今も昨日のことのように思い出されます。

1月の「あおぞら色彩楽園」は「災害」というテーマで子どもの心のケアについて特別セミナーを開催しました。

セミナーには、とても懐かしい顔やお子さんと一緒のお父さん・お母さん、遠方から駆けつけてくださった方々が集まりました。

とりわけ嬉しかったのは、なんと言っても保育士の先生方が多数参加してくださっていたことです。

いつも、子どもの絵や心のメッセージについて話すときに「先生」と呼ばれる、子どもに関わる職業の方にぜひ来ていただきたいと思うのですが、日頃の業務の激しさなどもあって、なかなか思いが届かないように感じていました。

災害は、いつでも、どこでも起きます。

万一のときには子どもたちの体と心を守ってほしいし、災害だけでなく、日頃の子どもの気になるサインに対しても共通していることがたくさんありますので、現場の先生方に来ていただけたことは本当に嬉しく思いました。


また、サプライスもありました。
震災以後、なんどか取材していただいた、毎日新聞の記者Nさんが差し入れと掲載記事や子どもの支援活動の記事のコピーをどっさり持って駆けつけてくれたのです。

アフガンの子ども支援のイベントもお手伝いしたこともあって、懐かしく、一瞬にして時が巻き戻ったようで、30年という時間を改めてひしひしと感じました。


セミナーにご参加のみなさんは、子どもの心の中のダメージがどんな形で現れるのか、どのように回復のステップを踏むのか、その過程で何が大切あのか、などをとても熱心に聞き、カラーワークに取り組んでくださいました。


CIMG0263そのすぐ隣には、ミニあおぞら色彩楽園を併設して、子どもたちに自由なアートスペースを体験してもらいました。

すると、ここでもまた、すばらしい光景を眼にしました。

受付を済ませて、しばらくミニあおぞら会場で過ごすと、お母さんたちがセミナー席に着いても、子どもたちは、そのままミニあおぞら会場で遊び続けていました。

そして、開始後しばらくは声や物音が聞こえていたのですが、30分を過ぎた頃には本当に静かになって、それぞれが自分のアートに取り組んでいるようでした。

2時間たっぷり、大人も子どもも色や形に没頭して、心の言葉を感じて、発していただきました。

2時間も自分のアートに集中して取り組んだ子どもたちには感謝しかありません。

IMG_5351

ご参加いただいた方々の声を一部紹介します。

―――――――――――――――――――――-

・30年、たくさんのことがあって、今のお気持ちや考えなんだろうなと思いながら聴いていました。
回復のステップを言葉として聴いて、なんとなくの所を整理できたきがしました。

お話を聞かせて頂いてよかったです。ありがとうございました。


・大人になって、自由に色をなぐりり描きすることがなかったので、新鮮で楽しかったです。
すっきりしました!勉強になりました。あおぞら、今度3月行かせていただきます。


・数年前からあおぞら色彩楽園の事を知っていて、気になりつつも行けていなかったところ、友人に誘われての参加でした。

保育士として、「何かを描かせる」「同じような作品が出来る」という造形活動に疑問があり、今日の心と表現のお話は、とても勉強になり、共感ばかりでした。

自分自身が色で表現して体感できたのもよかったです。


・ありがとうございました。

理解しているつもりでも、そうだった‼︎と改めて大切なことに気づくことができました。

30年も活動を続けられていることにも感謝と尊敬の想いでいっぱいです。

自分で手軽に色を使ってコンディショニング、大切ですね。わかていても、できてなかったです。

ネガティブなものはあまり持ってないと思っていたけど、無自覚だったのか、手が止まらず・・。

吐き出せてスッキリしたような気がします。ありがとうございました。私も伝えていきたいです!

―――――――――――――――――――――-


30年前、大惨事が起きたときの希望は子どもたちでした。

その後、復興に取り組む私たちの希望も、子どもたちでした。

たくさんの子どもが回復していく姿に触れて、私たちはエネルギーを充電してもらいました。

そして、これからも希望もやはり、子どもたちです。

子どもたちの生きる力が私たちの明日への希望です。

色彩楽園はこれからもたくさんの方々の心の言葉を聞き続けます。

ご参加いただいたみなさま、ご協力いただいたみなさま、応援していただいたみなさま、ありがとうございました。
また、今回の参加費は、あおぞら募金として活用させていただきます。
ありがとうございました。

あおぞらレポート〜2024.12

IMG_53042024年最後のあおぞら色彩楽園は、スタッフ全員で大掃除でした。

いつも使うシート数枚を拭き上げると、みんな「暑い~」。
でも、毎年のことなので慣れたものです。

絵や工作の道具や材料は1年間公園で使用すると、砂まみれです。

すべてをきれいにして、工作材料を整えて、倉庫を掃除して、春のスタートに向けて準備万端。

あおぞらスタッフは作業をしながら、子どもたちが選びやすいように、使いやすいように、安全なように、常に考えています。


IMG_5305また、工作材料のケースと予備の段ボール箱をきれいにすると、特に工作材料は様々な方からご協力をいただいていることを改めて実感します。

「あおぞら色彩楽園」参加者や支えていただいてる方々が共にこの活動を続けていくために重要な役割を担っていただいていることを感じるのです。



大掃除の後は忘年会へGo!

とにかく食いしん坊が集まっているあおぞらスタッフは、1年に1度の宴会を楽しみにしています。

おいしいものやお酒もいただきながら、ワイワイ楽しんでいると、必ずと言っていいほど話題は子どものことになります。

子どもが心を解放する過程や、アプローチの裏付けを細かく話したり、絵から読み解けるメッセージや、それを表現した子どもの想いに心を馳せたり、そうしたことが何より楽しい話題なようです。


阪神・淡路大震災から30年。

「あの日」のことは今も鮮明に思い出しますし、この先もきっと忘れることはありません。

震災で被災した子どもたちの心のケアから始まった「あおぞら色彩楽園」も誕生から30年を迎えました。
30年間ボランティアで活動できたことは本当に嬉しく、感謝でいっぱいです。

30年の間に出会った子どもたちには、とても大切なことをたくさん教わりました。

今年もたくさんの子どもたちに会えますように。

30thパレードA4

11月のあおぞらレポート〜今年もありがとうございました

「本当に11月?」と言いたくなるくらい暖かい日曜日、今年最後の公園での「あおぞら色彩楽園」を開催しました(11月17日 大倉山公園)。


今年は本当にお天気との相性が悪い一年でした。

前半は雨が続き、その後はこれまでに最も厳しいと言われた暑さを経験しました。連日発出された熱中症警戒アラートにより公園で開催ができず、屋内開催となりました。

お天気が悪い時に屋内開催できる場があることは本当に恵まれていると思いますし、感謝でいっぱいです。

しかし、これほど屋内での開催が多かった年も、あおぞら色彩楽園30年の歴史の中で初めてでした。30年前と今のお天気は全くの別物なのでしょう。


CIMG9977この一年は屋内開催となることが多かったわけですが、屋内と屋外にはどちらも良い点があります。

当然のことながら、公園のアートスペースは特に絵の具でのダイナミックな表現が数多く見られます。屋内会場もしっかり養生して、できるだけ元気いっぱい絵の具を使ってほしいと思っていますが、やはり限定された空間とオープンスペースでは開放感にも違いがあるようです。

また、公園で開催していると、偶然通りかかった人たちが参加してくれます。

初参加の場合は「絵や工作」と知って、不安な表情を見せる子どももいますが、帰る時にはどの子も笑顔で「さようなら!」と言ってくれます。


一方、屋内開催では、緻密な表現やじっくりと立体物に取り組む姿が見られます。

限定された空間には安心感を伴うこともありますし、より一層集中できるのでしょう。

座り込んで、じっくりと考えたり、目の前の色や形にどっぷりと浸かっているようにも見える姿には、その時にその子が持っている力がフル回転していることがうかがえますし、とても大切な時間だと感じます。

けれども、屋内開催にはまだまだ工夫の余地もあり、私たちスタッフにとっては2025年の宿題です。

今後も夏の暑さには注意が必要かと思われますから、開催場所が屋内でも屋外でも「あおぞら色彩楽園」らしさを大切にしながら、全ての参加者にとってよりよい環境を目指したい思っています。


今年も子どもたちの生きる力を感じられる作品にたくさん出会いました。

ありがとうございました。

スタッフ研修のため、アートスペースは冬の間はお休みします。

みんな、どうぞ春まで元気で!

10月のあおぞらレポート〜これがぼくだ!

101_1266長かった夏が終わり、ようやく青空の下での「あおぞら色彩楽園」となりました。

気温は下がって、朝は肌寒いくらいでしたが、すっきり晴れて明るい秋の一日でした。

この日、何枚か登場したのは絵の中に作者の名前が書かれた作品です。

子どもの絵の中に名前が登場することはよくあることで、珍しくはありません。

しかし、最初から名前が入ることはあまり見たことがありません。

何枚か絵を描いたり、立体作品に取り組んだりした後に力強く作者の名前が登場します。


作品の中に名前が出る時に共通しているのは、子どもが初めからリラックスしていたわけではないようだったということです。

工作スペースで材料を少々乱暴に扱ってみたり、絵の具を混ぜたり、水を足して流したりしてみたり、そうしたことも許されるのか、受け入れられるのかを確認しているかのような行動から始まります。


そして、それらが積極的に受け入れられ、そうしてみたい気持ちが受け入れられるることが確認できると、子どもたちはようやく本当にそのときにやってみたいことに取り組みます。

このときの「やってみたいこと」は、日頃はトライする機会が少なく、お母さんたちは「こんなことがやってみたかったなんて知らなかった」とおっしゃることもしばしばです。


描きたいように描けたとき、やってみたいことをやりきって満足感を感じるとき、絵の中に作者の名前が登場します。

子どもの中には満足感だけでなく、自信も生まれていて、「これでいいのかな」、「こんなことしたら何か言われるかな」などの不安はどこかに行ってしまっています。

この日の小学1年生Hくんの作品も進むにつれて、どんどんダイナミックになり、最後の絵には大きく名前が登場しました。それは、まるで「これがぼくだ!」と言わんばかりでした。


子どもたちは様々な顔を持っています。
繊細で引っ込み思案な面があるところも、ダイナミックに表現ができるところも、一見正反対のようですが、どちらもその子の顔にちがいありません。

また、繊細な表現をしたいときもあれば、ダイナミックな表現がしたいときもあります。

自由なアートスペースで心が開放されたとき、子どもは新しい顔を見せてくれます。

どんな一面を見せてくれるのか、その点も楽しみにしていただきたいと思っています。
(写真と本文は関係ありません)

9月のあおぞらレポート

せっかく熱中症警戒アラートが出なかったというのに、朝からお天気が不安定で雨の予報。
9月も屋内開催となりました。

5歳のHちゃんは初めて「あおぞら色彩楽園」に遊びに来てくれました。
受付で好きな絵を描いていいこと、好きなものをつくっていいこと、好きな色をぬっていいことを伝えると、じっと聞いていましたが、最後に「で、失敗OKです!」と伝えると、驚いたような、戸惑ったような、なんとも言えない表情を浮かべていました。
すかさずお母さんが「失敗がダメなんです。ものすごくイヤなんです」と教えてくれました。

101_1023そこで、Hちゃんに「どうして失敗OKかって言うとね、絵は失敗すればするほど上手になるから!」と言うと、ちょっぴり安心したような様子でもありました。。
受付では「工作する!工作大好き!」と言っていたHちゃんでしたが、工作コーナーのあおぞらスタッフに「後でちゃんと行くから!」と気を遣ってくれた後、まず、絵の具屋さんに行き、おえかきボードの前に座りました。
Hちゃんが描いたのは大きな大きなリンゴです。
絵の具が楽しくてたまらないようで、絵の具を水で溶いたり、ローラーを使ったり、じっくりと作品に取り組みました。
思わず「わ!大きなリンゴだね!」と声をかけると、「リンゴたろうの家!」。
どうやらHちゃんの中では、絵を描きながら想像が膨らみ、物語が生まれて、おはなしが展開していくと同時に絵も変化を見せて、同時にどんどん楽しくなっているようでした。

失敗がイヤ、悔しいというのは、とてもすばらしいと思います。
失敗した時の悔しい想いは次にがんばる原動力になるでしょうし、悔しいと思うほどがんばったということでもあるでしょう。
あまりがんばっていなければ、悔しくもなんともありません。
また、失敗してもなんともないというのも心配です。
成長と共に悔しい気持ちを持ちながらも、失敗や負けを受け入れることもできるようにもなっていきます。
しかし、実にたくさんの子どもたちが失敗はダメなことと思っているように思います。
失敗して悔しい!次は成功したい!がんばる!という経験は、とても大切です。
失敗の経験があれば、失敗した人の気持ちを自分のことのように想像できるでしょうし、誰かの失敗を受け入れる、カバーしようという気持ちになることにもつながるでしょう。

Hちゃんはりんごの絵を描いた後、工作コーナーに座り込んで、終了まで2時間もの間集中していました。
「あおぞら色彩楽園」は、子どもたちの「失敗はイヤ」という気持ちを共に感じつつ、次のチャレンジを喜び合い、讃え合う場でありたいと思っています。
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  • 11月のあおぞらレポート〜今年もありがとうございました
プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;