フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

子ども・色彩・こころ

夏のアート講座2026〜OKが子どもを大きくする!

厳しい暑さが続く中、今年も大阪医科薬科大学LDセンターで恒例の夏休みアート講座を開催しました。(2026年7月20日)


センターの中に作ったアトリエに集まった子どもたちは緊張しています。保護者の方々も同様です。

まずは講座の説明から始まり、「今からここで遊べるんだけど、お約束があります」と言うと、子どもたちの顔にはまた少し緊張感が浮かびました。


「すきなものを描くこと、つくることーOK!」


この最初のOKに始まって、いくつものOKの確認が進むに連れて、子どもたちの表情からは緊張感が消え、笑顔が浮かび始めました。

色彩楽園のアートプログラムには、いつでもこれらのOKがあります。災害で被災した子どものケアでも、あおぞら色彩楽園でも、どんなときも子どもたちと約束しているOKです。


スタッフのKさんは「約束やルールっていうと、どこでも禁止事項、NOになりますよね。OKの約束なんてないから、ちょっとびっくりするし、嬉しくなりますよね」と、OKの約束が子どもたちがのびのびと表現するためにとても大切なものであることを実感しているようでした。

確かにルールと言えば、交通ルールでもスポーツのルールでも「禁止」や「~でなければならない」というものがほとんどです。いえ、もはやすべてと言ってもいいかもしれません。学校での約束事も同様でしょう。


260720-7OKされることを確認した子どもたちは自分だけのアートに夢中で取り組みました。
自ら取り組んでいるときは、それぞれが持っている能力を発揮します。ベルトコンベアーを目指す形で作り上げたOくんからは思わず「よっしゃ!」とガッツポーズが出ました。このとき脳は快感情に満ち、心は解放されていたでしょう。

用意していた時間は足りず、終了時間だと知って不満気な子どもたち。その様子を見て驚きを隠せない保護者の方々。アート講座では、保護者がこれまで知らずにいた子どもの一面に出会うことがよくあります。

いつもとはまた違った子どもたちの表情や様子を見て、LDセンターのM先生は「色彩楽園マジック」と称してくださいました。


260720-6集団でのプログラムでは、往々にして子どもたちは知らず知らずのうちに「否定されないこと」、「指導者が用意したレールから外れないこと」を選択しています。
描きたいものを描きたいように描くことも、失敗もすべて受容される体験は極めて少ないように思います。
子どもの心の中にあるものが表現された作品はどれも子ども自身ですから、作品が受容されることは、すなわち子どもが受容されることに他なりません。
OKは子どもが受容されることを確認するための大切な約束です。


時間が足りないくらい楽しいアートは、とても充実した時間になりました。

参加してくれた子どもたちは、今年もまたそれぞれの力を発揮してくれて、びっくりさせてくれました。ありがとう!また遊ぼう!


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旅立ちの季節

 3月は締めくくり、そして旅立ちの季節です。
今年も子どものアトリエの6年生たちが卒業制作にチャレンジしました。

 例年、2学期の半ばごろに6年生ぞれぞれに卒業制作の相談をします。小学校卒業を記念した作品で、取り組んでも取り組まなくてもよいこと、時間をかけてトライできることなどを話して、いつも通りに「何をやるか」は自分で決めていいことを伝えます。「うん、やってみる」と言うと、一緒に計画表を作って準備をします。


多田羅結生260308-2Yくんが選んだテーマは「桜」です。

力強い幹と根、伸びた枝ができあがるころ、なぜ桜をテーマに選んだのかを聞いてみました。

「学校に桜の木があって、季節によって見た目が変わる。その中で一番印象的で美しかったのはいつも花が咲くときだったから」。

 6年間を見守ってくれた校庭の桜は冷たい冬も乗り越えて、いつも春になれば優しい色の花をつけたのでしょう。

3月のクラス最終回にYくんの桜もたくさんの花をつけました。

逞しい幹にたさくんの花をつけた桜は、まるでYくんの分身のようでした。


中畑健太郎260328-3Kくんは大好きなキャラクターをたくさん集合させました。

スタートしてから毎回カメラを持参してきて、中に保存した画像を参考にしながら、一つ一つキャラクターを増やしていきました。

途中で少々苦しそうなときもあったので、「今日はこれを休んで工作していいよ」と声をかけても「いや、これを描きたい」と言って粘り強く取り組みました。

いよいよ仕上げにかかったころ、Kくんは「あー、こんなにたくさん描いたのか」と自分でも少し驚いていたことがとても印象的です。

それは、まるでこれまでがんばってきた6年間の道を振り返るかのようで、キャラクターの数を何度も数えなおして、Kくんの口から出た「37体ある」という言葉は、こんなにたくさんの様々な人に出会って、いろいろなことをがんばってきたんだと自分の足跡を改めて感じているかのようでした。


村橋結郁260308-4Yさんのチャレンジは少女漫画です。

ちょうど大好きなマンガ、作者に出会ったころのようで、とても熱心に原稿を描くことに取り組みました。

でも、「描くこと」以外にもYさんががんばったことがたくさんありました。

本に仕上げるまでのプロセス全体を把握して立てた計画は、とても細部まで考えられていましたし、時には修正も加えて、「描くこと」も、本を完成させるまでにやるべき「さまざまなこと」もどちらも楽しく取り組めたと思います。

冬休みも宿題として持ち帰り、「自発的に取り組んでいました」とお母さまを驚かせました。

Yさんが考えたペンネームには憧れの作者へのリスペクトが込められていて、10代の子どもたちの大きな原動力となる憧れや尊敬、目標を感じさせる作品となりました。


 自ら考える、選ぶ、決める経験をたくさん積んだ子どもたちは、持っている力、いや、それ以上の力も発揮する土台を身につけています。

卒業制作が完成するまでには少々苦しいことも経験しますが、それぞれが自分の力でその壁を乗り越えて、新しいステージへと飛び立ちます。

6年生たちは中学校という新しい世界で、またたくさんの発見をするでしょう。

また一段と大きく成長する姿を楽しみにしています。




新しい世界はみんなを待っている!

 2024年度の6年生卒業制作はRくんがチャレンジしました。
低学年の時は立体物をつくるのが好きで、難しいビー玉迷路などに何度もチャンレンジしていたRくんです。
とても優しくて、誰かのことを悪く言ったりすることは聞いたことがないし、描くことに集中していても、年下の子どもが困っていると必ず助け舟を出してくれました。
子どものアートクラス・アトリエの卒業制作は必ずやらなければいけないものではありません。
しかし、これままで最も大変な作品にチャレンジできる機会であること、やってもいいし、やらなくてもいいと相談してみると、いつも静かなRくんが「やる」と力強い返事をくれました。

 Rくんが選んだテーマは大好きなドラゴンボールでした。
これまでも何枚も描いてきたキャラクターです。いつもRくんが選ぶのはゴクウが戦っているシーンが多く、卒業制作に選んだのも、やはり戦っているシーンでした。
これは6年間の小学校生活を戦ってきたことが表れているのでしょう。そう思わずにはいられないテーマの選択でした。
戦うキャラクターを描き続けて「戦っていること」を表現し、戦い抜くことができたのかもしれません。

 B3サイズのイラストボードに描かれた、この絵はとても多くの手間がかかっており、本当に根気よく取り組まれたものです。
元々粘り強く取り組めるところがRくんの武器でもありましたが、最後となった作品でも、その力を十分に発揮してくれました。
きっとこれからも、この作品のように大きな敵に立ち向かっていくことでしょう。

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 小学3年生から中学3年生まで通ってくれたIくんも入学試験を突破して高校生になり、今春アトリエを卒業しました。
Iくんは自分が夢中になれるものをみつけて高校を自分で決めました。最後のアトリエでお母さまから手紙をいただきましたので、一部をご紹介します。

「アトリエに通うようになってからは毎日のように家でも何かを作り、新しいものを生み出していました。

飽きることなく毎日です。(中略)おそらくIが作った作品は1,000点以上。Iが創り出した作品は、その時のIの心の中にあるもの、感情がそのまま乗ったIそのものだったんだろうと思います。

 この作品創りがあったから、今のIがある。創ることで自分の感情を出し、自分を表現する。Iの心の安定はここにあったんだと思います。

今のIを作ったのは作品創りだと思います」


 Iくんは自分の道を自分でみつけて、その世界に自ら飛び込むことを決めました。
RくんもIくんも夢中になれるもの、やらずにはいられないことを自分でしっかりわかっています。
誰かに言われて仕方なくやることではなく、能動的に取り組むことができるものを持っているのです。この、能動的に取り組めるものこそがその人にしかない能力が発揮できるものだと思います。

 

 子どもたちは、みんな自分だけの表現方法を持ってアトリエを飛び立ちました。
新しい世界でも感じたこと、考えたこと、やってみたい気持ちなど自分の中にあるものを大切にしてほしいと思います。

 そして、新しく仲間になった子どもたち、ようこそ!
アトリエという空間もみんなのことを待っていました。やってみたいことにどんどんチャレンジして下さい。
 木々が芽吹き、花が開き、生きとし生けるものが活動を始める春には、まるで大地自体が深い眠りから覚めてくるかのような、生のエネルギーが満ち溢れているのを感じることができます。
子どもたちのエネルギーも高まる4月。期待でいっぱいの春です。

特別セミナー 災害と子どもの心のケア

<阪神・淡路大震災30年特別セミナー>
災害と子どもの心のケア〜クレヨンが心のおくすりに


子どもの心を守りたいー
災害が起きたとき、まず守りたいのは大切な家族の命です。
命の次に守りたいのは家族の心です。

色彩楽園は阪神・淡路大震災が起きた1995年から絵による子どもの心のケアに取り組んできました。
子どもは災害だけでなく、日常生活の中でも心にダメージを受けることが珍しくありません。

そこで、家庭できる楽しい”おえかきケア”をご紹介します。
実際に色鉛筆やクレヨンを使って私たち自身が体験してみましょう。
お父さん、お母さん、先生方、子どものアートセラピーに興味がある方、どなたでもぜひご参加ください。

日時 2025年1月19日(日)13:30〜15:30(受付13:00〜)
会場 神戸真生塾子ども家庭支援センター ロータリー子どもの家https://kobe-shinsei-cfsc.com
定員 30名
参加費 1,000円(あおぞら募金としてお預かりします)
受付期限 2025年1月10日

*要事前申し込み(当日受付はありません)

*ミニあおぞら色彩楽園はどなたでも参加できます。

詳しくはこちら!
https://www.shikisaigakuen.com/event/3942

30thイベント


くますけものがたり4〜災害と子どものケア

くまものがたりロゴ4

こんにちは!くますけです!

1995年の阪神・淡路大震災での子どもの心のケア活動から色彩楽園は神戸に誕生しました。

その後も子どもの心を解放するための公園のアートスペースは続き、多くの子どもたちを迎えました。これが今の「あおぞら色彩楽園」で、震災直後と同じくボランティアで活動を続けて、新年を迎えると満30年になります。

30年の間、「あおぞら色彩楽園」を続けながら、各地で起きた災害で被災した子どもたちの元へも駆けつけました。

・1995年 阪神・淡路大震災(兵庫県西宮市・芦屋市・神戸市)
・1997年 神戸市児童相談所一時保護所(兵庫県神戸市)
・1999年 コソボ紛争(大阪府堺市)
・2004年 豊岡市台風23号(兵庫県豊岡市)
・2009年 佐用町台風9号(兵庫県佐用郡佐用町)
・2011年 東日本大震災(山形県・福島県)
・2014年 広島豪雨災害(広島県広島市)
・2018年 西日本豪雨災害(愛媛県大洲市)


1997年からは神戸市児童相談所(現神戸市こども家庭センター)一時保護所で生活する子どもたちと「おえかきケア」の時間を持ち、1999年には激化した紛争から親族を頼って日本に避難したコソボの子どもたちのケアに関わりました。紛争を経験した子どもたちのダメージはやはり大きく、2001年春に母国に帰国するまで、毎月一緒に絵を描いて過ごしました。


DSC00531そして、世界中が驚いた2011年の東日本大震災。

信じられないくらいの大きな津波により、とても多くの方々が犠牲になり、また、原子力発電所の事故も起こりました。

そんな中、震災から2週間後には「おえかきやさん」として避難所に向かい、翌年からは福島県で毎月おえかきやさんを実施する機会をいただいたんです。

このときは「くますけものがたり2」でもご紹介した通り、くまボラさんたちの手によって400体ものくますけぬいぐるみが集まりましたよー。


また、2018年の西日本豪雨により怖い想いをした子どもたちとも出会いました。

あのときは神戸でも本当にたくさんの雨が降り続いて、「この雨、本当に止むのかなあ」と思ったくらいです。


こうした活動が評価されて、2015年には日本児童青年精神医学会より実践奨励賞をいただきました。表彰式にはぼくも一緒に行きました。

どこで起きた、どのような災害でもスタッフから聞いたのは、子どもたちが次第に心を解放して元気を取り戻していく姿に「私たちが元気にしてもらった」という声です。

みんなのパワーは本当に大きくて、ぼくも元気をもらいました。

子どもも大人も心のエネルギーを取り戻すと街も元気になっていきます。

これは、きっと、この先も変わりはないんだろうと思います。


これらの活動はどれも多くの方々のご支援をいただき、実現しました。

子どもの心の健康を大切に考える人たちがたくさんいることもまた、本当に嬉しく、感謝でいっぱいです!

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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;