フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

あおぞら色彩楽園

11月のあおぞらレポート〜今年もありがとうございました

「本当に11月?」と言いたくなるくらい暖かい日曜日、今年最後の公園での「あおぞら色彩楽園」を開催しました(11月17日 大倉山公園)。


今年は本当にお天気との相性が悪い一年でした。

前半は雨が続き、その後はこれまでに最も厳しいと言われた暑さを経験しました。連日発出された熱中症警戒アラートにより公園で開催ができず、屋内開催となりました。

お天気が悪い時に屋内開催できる場があることは本当に恵まれていると思いますし、感謝でいっぱいです。

しかし、これほど屋内での開催が多かった年も、あおぞら色彩楽園30年の歴史の中で初めてでした。30年前と今のお天気は全くの別物なのでしょう。


CIMG9977この一年は屋内開催となることが多かったわけですが、屋内と屋外にはどちらも良い点があります。

当然のことながら、公園のアートスペースは特に絵の具でのダイナミックな表現が数多く見られます。屋内会場もしっかり養生して、できるだけ元気いっぱい絵の具を使ってほしいと思っていますが、やはり限定された空間とオープンスペースでは開放感にも違いがあるようです。

また、公園で開催していると、偶然通りかかった人たちが参加してくれます。

初参加の場合は「絵や工作」と知って、不安な表情を見せる子どももいますが、帰る時にはどの子も笑顔で「さようなら!」と言ってくれます。


一方、屋内開催では、緻密な表現やじっくりと立体物に取り組む姿が見られます。

限定された空間には安心感を伴うこともありますし、より一層集中できるのでしょう。

座り込んで、じっくりと考えたり、目の前の色や形にどっぷりと浸かっているようにも見える姿には、その時にその子が持っている力がフル回転していることがうかがえますし、とても大切な時間だと感じます。

けれども、屋内開催にはまだまだ工夫の余地もあり、私たちスタッフにとっては2025年の宿題です。

今後も夏の暑さには注意が必要かと思われますから、開催場所が屋内でも屋外でも「あおぞら色彩楽園」らしさを大切にしながら、全ての参加者にとってよりよい環境を目指したい思っています。


今年も子どもたちの生きる力を感じられる作品にたくさん出会いました。

ありがとうございました。

スタッフ研修のため、アートスペースは冬の間はお休みします。

みんな、どうぞ春まで元気で!

10月のあおぞらレポート〜これがぼくだ!

101_1266長かった夏が終わり、ようやく青空の下での「あおぞら色彩楽園」となりました。

気温は下がって、朝は肌寒いくらいでしたが、すっきり晴れて明るい秋の一日でした。

この日、何枚か登場したのは絵の中に作者の名前が書かれた作品です。

子どもの絵の中に名前が登場することはよくあることで、珍しくはありません。

しかし、最初から名前が入ることはあまり見たことがありません。

何枚か絵を描いたり、立体作品に取り組んだりした後に力強く作者の名前が登場します。


作品の中に名前が出る時に共通しているのは、子どもが初めからリラックスしていたわけではないようだったということです。

工作スペースで材料を少々乱暴に扱ってみたり、絵の具を混ぜたり、水を足して流したりしてみたり、そうしたことも許されるのか、受け入れられるのかを確認しているかのような行動から始まります。


そして、それらが積極的に受け入れられ、そうしてみたい気持ちが受け入れられるることが確認できると、子どもたちはようやく本当にそのときにやってみたいことに取り組みます。

このときの「やってみたいこと」は、日頃はトライする機会が少なく、お母さんたちは「こんなことがやってみたかったなんて知らなかった」とおっしゃることもしばしばです。


描きたいように描けたとき、やってみたいことをやりきって満足感を感じるとき、絵の中に作者の名前が登場します。

子どもの中には満足感だけでなく、自信も生まれていて、「これでいいのかな」、「こんなことしたら何か言われるかな」などの不安はどこかに行ってしまっています。

この日の小学1年生Hくんの作品も進むにつれて、どんどんダイナミックになり、最後の絵には大きく名前が登場しました。それは、まるで「これがぼくだ!」と言わんばかりでした。


子どもたちは様々な顔を持っています。
繊細で引っ込み思案な面があるところも、ダイナミックに表現ができるところも、一見正反対のようですが、どちらもその子の顔にちがいありません。

また、繊細な表現をしたいときもあれば、ダイナミックな表現がしたいときもあります。

自由なアートスペースで心が開放されたとき、子どもは新しい顔を見せてくれます。

どんな一面を見せてくれるのか、その点も楽しみにしていただきたいと思っています。
(写真と本文は関係ありません)

9月のあおぞらレポート

せっかく熱中症警戒アラートが出なかったというのに、朝からお天気が不安定で雨の予報。
9月も屋内開催となりました。

5歳のHちゃんは初めて「あおぞら色彩楽園」に遊びに来てくれました。
受付で好きな絵を描いていいこと、好きなものをつくっていいこと、好きな色をぬっていいことを伝えると、じっと聞いていましたが、最後に「で、失敗OKです!」と伝えると、驚いたような、戸惑ったような、なんとも言えない表情を浮かべていました。
すかさずお母さんが「失敗がダメなんです。ものすごくイヤなんです」と教えてくれました。

101_1023そこで、Hちゃんに「どうして失敗OKかって言うとね、絵は失敗すればするほど上手になるから!」と言うと、ちょっぴり安心したような様子でもありました。。
受付では「工作する!工作大好き!」と言っていたHちゃんでしたが、工作コーナーのあおぞらスタッフに「後でちゃんと行くから!」と気を遣ってくれた後、まず、絵の具屋さんに行き、おえかきボードの前に座りました。
Hちゃんが描いたのは大きな大きなリンゴです。
絵の具が楽しくてたまらないようで、絵の具を水で溶いたり、ローラーを使ったり、じっくりと作品に取り組みました。
思わず「わ!大きなリンゴだね!」と声をかけると、「リンゴたろうの家!」。
どうやらHちゃんの中では、絵を描きながら想像が膨らみ、物語が生まれて、おはなしが展開していくと同時に絵も変化を見せて、同時にどんどん楽しくなっているようでした。

失敗がイヤ、悔しいというのは、とてもすばらしいと思います。
失敗した時の悔しい想いは次にがんばる原動力になるでしょうし、悔しいと思うほどがんばったということでもあるでしょう。
あまりがんばっていなければ、悔しくもなんともありません。
また、失敗してもなんともないというのも心配です。
成長と共に悔しい気持ちを持ちながらも、失敗や負けを受け入れることもできるようにもなっていきます。
しかし、実にたくさんの子どもたちが失敗はダメなことと思っているように思います。
失敗して悔しい!次は成功したい!がんばる!という経験は、とても大切です。
失敗の経験があれば、失敗した人の気持ちを自分のことのように想像できるでしょうし、誰かの失敗を受け入れる、カバーしようという気持ちになることにもつながるでしょう。

Hちゃんはりんごの絵を描いた後、工作コーナーに座り込んで、終了まで2時間もの間集中していました。
「あおぞら色彩楽園」は、子どもたちの「失敗はイヤ」という気持ちを共に感じつつ、次のチャレンジを喜び合い、讃え合う場でありたいと思っています。

8月のあおぞらレポート

本当に暑い夏でした。

連日出されていた熱中症警戒アラートのために、8月のあおぞら色彩楽園も屋内での開催となりました。

お盆期間中だったこともあり、参加者は数えるほどで、のんびりムード。

そんな中、4歳のRちゃんとAちゃんが遊びにきてくれました。

まずは二人とも工作材料の前に座り込んで、ストローを切ったり、それをペットボトルの中に入れたりすることからスタートしました。

工作を十分に楽しんだ後は二人とも絵の具やさんがある、おえかきコーナーへ。

二人が絵の具遊びを始めたことをきっかけに、それぞれのお母さんにも絵の具遊びを勧めてみました。

「えー、何描いたらいいのかなぁ」と、ちょっぴり戸惑うお二人に「今日、気持ちのいい色でぬりつくしてみましょう」とお勧めしました。

お母さんたちは、すぐにご自分の作品に集中して、目の前に出した色と向き合っているようでした。


101_0844自分よりも大きな画用紙を前に絵の具を楽しんでいたAちゃんは、お母さんたちが絵の具を使い始めたことに気づいて、興味津々でした。

絵の具やさんとお母さんのパレットの間を何度も往復して、同じ色を自分のパレットに入れて、ずいぶん刺激を受けているようでした。

Rちゃんもお母さんの作品を見て、「そんな色がいい。どうやったらいいの?」と懸命に色を作って、大きな筆やローラーにもトライして、思いがけず生まれた色などに興奮気味でした。

大人の作品を見て、それまで知らなかったやり方にトライしたり、お母さんのパレットを観察したり、子どもたちは単に「絵を描く」と一言では表せないくらいの様々な力をフル回転させて、表現活動に取り組みます。

また、お父さんやお母さんが色や素材に没頭しているとき、子どもたちは何か安心したようにリラックスして、画材を楽しみ始めます。作品がダイナミックになったり、緻密になったり、その子ならではのアイデアが出てきたりするのもよく見る光景です。


101_0846自分のスタイルで画材に集中すると、大人も子どもも画用紙の上に心を象徴する色や形が表れます。

それらを外に向かって表現することで心のバランスが整い、私たちはすっきりしたり、新しい意欲を感じたりします。

何より心に余裕が生まれるので、他の人の作品にダメ出ししたり、不満を感じたりすることもありません。

むしろ、作品を受け止めて、心から「すばらしい」と思う余裕があります。

絵の具に集中して、「確かにすっきりしました」とおっしゃっていたお母さんは、改めてお子さんの力に驚いていたようでした。


心のバランスが整い、新しいエネルギーが生まれると、とにかく楽しい!

AちゃんもRちゃんも、たっぷり2時間集中した取り組みを見せてくれました。

子どもの大きな力には毎月脱帽しています。

7月のあおぞらレポート

101_0592とんでもない暑さが続いています。
夏休みに入ったばかりの7月のあおぞら色彩楽園は、兵庫県に熱中症警戒アラートが発出されて屋内開催を余儀なくされました。
昨年までは、まだ新型コロナ感染症対策のために体育館の使用が難しく、アラートが発出されると、やむなく開催を中止していましたが、今夏から熱中症警戒アラート発出による屋内開催が始まりました。
熱中症の危険は子どもたちだけでなく、保護者やスタッフにもその可能性があります。
さらに最近の暑さは、ことのほか厳しく、特に今年は126年間で最も暑い7月になりました。
年齢を問わず、こまめな水分補給やエアコンの使用は当たり前になり、10年くらい前の夏を思い出しても大きく様変わりしています。

あおぞら色彩楽園の夏も大きく変わりました。
以前は夏になると、色水を撒き散らしながら元気に走り回る子どもたちの姿がそこここにあり、8月は「おえかき大会」が恒例でした。様々な事情から「おえかき大会」は2015年を最後に実施していませんが、今では夏になると公園で開催すること自体が難しく、暑さの影響がここまでになるとは、さすがに予測できていませんでした。

あおぞら色彩楽園は、その名の通りあおぞらの下での開催なので、こぼしたり汚したりを気にすることなく、思い切り絵の具を楽しめることが魅力の一つです。
しかし、作品に表れる子どもたちのパワー、エネルギーの高い取り組み、時間を追うごとに解放されていく姿には屋内外を問わず、出会うことができます。
すべての子どもたちに本当に感謝です。

夏の暑さの厳しさは、おそらくこの先も続くのではないかと思います。
夏は屋内開催が通常となることを前提に、これまで通り子どもたちに思い切り楽しんでもらえるように、また、屋内の長所を最大限に引き出せるように、「あおぞら」を新しい、そして一層大きな姿にしようとスタッフ全員で取り組んでいる最中です。

今日8月7日は立秋です。
とは言え、厳しい暑さはまだまだ続きそうです。
みなさま、どうぞ健康に夏をお過ごしください。

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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;