フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

あおぞら色彩楽園

3月のあおぞらレポート

寒さが心配だった3月のあおぞら色彩楽園。

当日は暖かさが戻り、穏やかな春のアートスペースになりました(3月15日 大倉山公園)


この日は公園に遊びにきていた子どもたちもたくさん参加してくれて、それぞれのアートを楽しみました。

初めて参加してくれたSくん(8歳)は、まず小さい画用紙を選んで目の前にある遊具などを慎重に描き始めました。絵筆をしっかり洗って色を代え、ていねいに描き進めていました。

時々、あおぞらスタッフから「よく見てるね」「ていねいに描いているね」など声をかけられていたSくんの絵に大きな変化が現れました。絵の中央にオレンジ色の大きな丸が登場したのです。

その後Sくんが持って来た2枚目の画用紙は1枚目の8倍ほどもある最も大きなサイズでした。

のびのびと大きく描かれた絵は1枚目とはずいぶん雰囲気が違ったもので、描き終わると立体物を作ることに取り組み始め、とても考えながら進めているようで、考えることが好きな様子がうかがえました。


最初の絵を描きはじめたとき、Sくんはとても緊張しているようでした。

おそらく学校で教わった通りに絵の具を使って、目の前にある対象物(遊具)を一生懸命見た通りに描こうとしていました。

そんなSくんの取り組みや絵がありのままに受け止められて安心したのか、大きな丸が登場したのです。

Sくんは、その丸を「夕焼け」と説明してくれましたが、自分の絵が受け入れられて丸をもらったようでもあったのでしょう。しかもそれは、とてもあたたかいオレンジ色でした。

ですから2枚目の絵はとても大きなサイズになって、のびのびと表現されていたし、工作に取り組むとSくんの持ち前の力を発揮して、考えることを十分に楽しんでいたようでした。

ずっと見守っていたお父さまは「こういうことが好きだったんですね。知らなかったなー」と驚いた様子でした。


CIMG2069子どもたちは、それぞれのスタイル、ペースが受け止められると驚くような力を発揮します。

さあ、公園でアートを楽しむには絶好の季節がやってきました。

4月も公園で待っています!
(写真と本文は関係ありません)

2026年2月のあおぞらレポート

2月のあおぞら色彩楽園は恒例のスタッフ研修でした。

あおぞらスタッフは、子どもの絵のこと、絵がどう子どもの育ちに影響するのか、子どもたちが安心してのびのびとアートを楽しむためのアプローチなど、さまざまなことを常に学んでいます。

2月は子どもたちと同じ体験をして、自分の中に何が生まれるかがテーマでした。


そこで、まずは子どもたちと同じように様々な材料、素材、画材などがあるアートスペースで自由なアートに取り組みました。
「何をしてもいい」は、とりわけ大人にとって、とても難しいことです。

子どもたちも小学校中学年あたりから最初は戸惑いを見せます。
高学年になると、様々な経験もあるので、やりたいようにやりながらも経験を活かしてオリジナリティにあふれたアートを生み出します。

IMG_5895スタートして15分ほど経つと、それぞれが自分の作品に集中して、部屋の温度は上がり、クリエイティブな空気が部屋に満ち始めました。

自由なアートは「1時間」と伝えていましたが、1時間が経過した「そのとき」はまさに「ヤマ場」、最初は具体的ではなかったイメージが頭の中ではっきりとその姿を表し、それを形にするために持っている力をフル回転させているときです。

このとき、人は大きな充実感の中にいます。心地よくて、楽しくて、脳が大きな快感を感じているときです。

ですから、1時間が経ったからといって、そこで終了できるわけはありません。

90分が過ぎるころ、自由なアートは終了しました。

これは小さい子どもたちも同じで、自由に取り組むことができていれば、多くの場合60分を過ぎてから鎮静に向かっていき、90分になるころに自然に終了します。

もちろん、最初からピークを迎えることはなく、緊張や戸惑いに始まり、やっていることが受け止められている、OKをもらっていることを経験してからようやくその子のアートが生まれ、持っている能力をフル回転させて楽しくなり、その子だけの作品が完成するという道を辿ります。


あおぞら色彩楽園では受付の締切を終了時間の90分前に設定しているのはこのためで、稀に「30分だけでもいいから遊んでいいですか?」と聞かれることがあります。
しかし、「30分だけね、それでおしまいだからね」と言われた子どもたちは心を解放するまでには至らず、終わらなければならないことがほとんどです。

そうなると、ちっとも楽しくないので、保護者も楽しくありません。


あおぞらスタッフたちは、自ら体験して、さまざまな声をあげてくれました。

「子どもたちは自分で使いたいもの、使いたい色を選んで、自分で決めて、その子にしかないアートを生み出す、本当にすごい!」

「絵の具の楽しさ再発見。さあざまな使い方で楽しめる子どもたちの偉大さ」

「知らず知らずに感じている何かを作らなければという呪縛、安心できる場、受け入れられる場という大前提があることで得られる解放感」

「自ら体験したことで、あおぞらの子どもたちを心から尊敬できる。描けないとき、途中でやめるということにもパワーがいるんだな」

「あの大きな画用紙にあれだけのびのび表現できる子どものパワー、本当にすごい」


特に多くの声があがったのは「子どもって本当にすごい!」、「あのパワーを邪魔しちゃいけない」でした。

子どもたちがパワーを発揮するまでの受け入れ方や待ち方のヒントがあったようです。

保護者の方々が子どもたちが解放されるまで、集中して取り組み始めるまでの時間をどうしても長く感じてしまうのは、これもまた自然なこと。

子どもたちがたどるプロセスを保護者と共有したいという気持ちを改めて強くできたようです。


さあ、春が来ました。

あおぞら色彩楽園再開です。

子どもたちを心からすごい、偉大だと感じているスタッフたちが公園で待ってます!

2026年1月のあおぞらレポート②~心を守る

1月のあおぞら色彩楽園の第一部は「命を守る」をテーマに救急法のスタッフ研修、第二部は「心を守る」として、いつもの自由なアートスペースに加えて「災害と子どもの心のケア」ミニレクチャーを行いました。


あおぞら色彩楽園のはじまりは阪神・淡路大震災のときの絵による子どもの心のケアです。

1月はこのときの経験や学びをつないでいく機会でもあります。

そこで、災害が起きた時など緊急時の心のケアについてお話ししました。

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しかし、子どもの「緊急時」は災害が起きた時だけに限りません。

学校に行っていない、友だちとの関係、いじめがある、集団の中で過ごすことが苦しい、虐待、学業に関する問題などなど、子どもたちにとっては大震災クラスの災害とも呼べるさまざまな苦しいものが存在します。

中には少し見守っていると自然と解決するものもありますが、苦しい時に必要なのは自然に語れる場です。心の言葉としての子どもの絵の受け取り方、サポートの仕方などは被災した子どもたちから多くを学び、今も役立っています。


CIMG1652あおぞらスペースに集まる子どもたちは自分のスタイルで自由に表現することを体験します。
また、表現するだけでなく、表現したものを誰かが受け止めてくれることも体験します。
保護者の方々はお子さんが表現したものをありにままに受け止めることを体験します。

「体験します」と言うと簡単なことのように感じますが、これは容易ではありません。

子どもたちも保護者の方々も段階を踏んで徐々に心を開放して、絵や立体物という、その子だけの心の言葉を発し、それらを心から受け止める保護者の方々の姿が見られるようになります。


自然災害などの多くの人たちが同時に感じる「いざというとき」、子どもそれぞれの「いざというとき」に絵によるケアは今も役立っています。

おりしも、昨年子どもが自ら命を絶った数は過去最高との報道もありました。

子どもたちの心の災害は心の言葉に耳を傾けること、ありのままに受け止めることで「災害」の大きさを小さくします。

あおぞら色彩楽園はいつまでも自由なアートスペースであり続けます。

2026年1月のあおぞらレポート①〜命を守る

神戸の1月は命を考える月。
6,400人あまりの尊い命を失った「あの日」を思い、何より命が大切なこと、一人一人の存在が大切なことを改めて感じ、大切な人を守るための物の準備やスキル、知識を見直すときです。
あおぞらスタッフは毎年1月に救急法の研修を受けます。
今年は「あおぞら色彩楽園開催中に地震が起きたら」がテーマでした。
公園であおぞら色彩楽園開催中に地震など災害が起きた時を想定して、まず、やらなければならないことは何か、どうやって揺れが収まるのを待つか、もし、誰かがケガをしていたら?呼吸が止まっていたら?
神戸ライフセービングクラブに来ていただいて、2時間みっちり研修を受けました。
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研修は想像力をフル回転させて優先順位を確認したり、バッグバルブマスクで肺に空気が入ってくることを体験をしたり、時間が足りなくなるほどでした。
いつものことですが、あおぞらスタッフはとても熱心に研修を受けます。
学ぶときも大掃除のときも、もちろん「あおぞら」開催中も楽しむことができるのがすばらしいところです。
こんなときはどうするの?とあらゆるケースを想定して、講師の先生方を質問攻めにしていました。
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子どもたちそれぞれのアートが発するメッセージを受け止めていると、それぞれの存在そのものがどれほど尊いかを感じます。
何ができるか、やれるかではなく、そこにいることそのものが大切で、守られなければならない命です。
だからこそ、あおぞらスタッフは、それぞれの作品を大切にし、作品が発する心のメッセージを大切にしています。
神戸の「あの日」から31年。
あおぞら色彩楽園も32年目のスタートをきりました。
様々な準備を整えて、「あおぞら」は今年も絵という子どもたちの心の言葉に耳を傾けます。

10月のあおぞらレポート〜絵の具たのしい!

 ようやく秋らしくなって、過ごしやすい気候になってきました。10月のあおぞら色彩楽園会場はたくさんの子どもたち、保護者の方々の熱気に包まれました(10月19日 神戸真生塾子ども家庭支援センター)。


CIMG1138 10月、11月のあおぞら色彩楽園は30周年スペシャルです。

絵の具スペースには10年ぶりに立体画用紙を登場させました。色とりどりの四角いモチーフが並んだり、普段は描けない面を見上げながら絵の具をぬったり、子どもたちのアイデアで楽しい作品になりました。平面にはない世界が広がるのが立体画用紙です。


 自由に絵の具が使えることは絵の具の楽しさを引き出します。

子どもたちは探究心を持っているので、「この色とこの色を混ぜたらどうなるんだろう?」

「どうして絵の具を混ぜても色が変わんないのかな?」

「水を混ぜたら、雨みたいに流れちゃった!」

などなど、様々な使い方に自らトライします。

自発的なトライなので、「なぜ?」「どうなる?」などはとても深く、その結果がもたらす発見や驚きは強いインパクトを生みます。

思わず「うわ!」「こんなんになった!」「見て!」といった声が上がるとき、脳は活性化し、知的好奇心はふくらみ、持っている能力はフル回転!


 こんなに楽しい絵の具を「こうやって使わないとダメ!」と決められてしまうと、楽しさはなくなり、苦しいばかりです。

そればかりか、脳は快感を感じませんから「絵はきらい」、「絵の具はイヤ」と感じる体験だけが残ってしまいます。

私たちは知らず知らずのうちに自分が「知っている使い方」以外の使い方に否定的になってしまいます。

 特に対象が子どもの場合はその傾向が強く、アーティストが豪快に絵の具を撒き散らしたり、高いところから落としたりすることには「そんな使い方しちゃダメ!」とは思わないのに、子どもたちだと否定的になってしまいがちです。「知らない使い方」を見たときに「すばらしいアイデア!」「すごい発想力!」と受け止めたいですね。


IMG_5730 使いたいように使っていると、いつのまにか絵の具の特性を理解して表現に応じた使い方を身につけます。体験を通じて身につけているのでしっかりわかっているし、オリジナリティも加わって、その子どもならではの作品が生まれます。

この日絵の具をのびのびと楽しんでいたのは、0歳の小さい参加者たちも同じでした。小さい人たちの自由さもまた、子どもたちを刺激します。


 アートは楽しい!そのことをできるだけ多くの人たちに体験してもらえれば何よりです。

「楽しい!」は子どもの様々な力を伸ばします。

ギャラリー
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  • 2026年1月のあおぞらレポート①〜命を守る
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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;