フジイブログ

色彩楽園主宰フジイのブログです。

あおぞら色彩楽園

6月のあおぞらレポート〜まずは楽しんで!

前日まで降っていた雨は朝にあがり、無事に公園での開催となりました。
気温は上がりましたが、アートスペースにはゆっくりと親子が集まりました(6月15日 大倉山公園)。
この日は参加者も少なく、のんびりムードだったので、何名かのお母さんに声をかけて絵の具をさわってもらいました。

CIMG0416好きなものを描いていい、好きな色をぬっていい、描きたいように描いていいよと言うのが「あおぞら色彩楽園」での約束ですが、しかしこれはそう簡単ではありません。
大きくなるにつれて、対象物と似ていないといけない、何を描いたのかわかるものでないといけない、と思っている子どもは少なくありません。
そして、これは大人であれば、なおさらそうした想いは強くなります。
この日声をかけたお母さんたちも「好きに描いていいって難しいですね。子どもが『何描いたらいいん?』って言ったら『なんでもいい』って言っちゃうけど」と話されたお母さんもいらっしゃいました。

それでも、お子さんが好きだと言うキャラクターを描くことに取り組んだり、とにかくぬりたい色を選んで、色が広がっていくことに没頭したお母さんもおられて、最後には「楽しかった!」と笑顔を見せてくださいました。

子どもたちが自由に表現して心を解放するには、描きたいように描く、ぬりたい色をぬることはとても大切です。
しかし、誰が見てもわかる「何か」を描かないといけないと思っていると、心は解放されません。
むしろ、どんどん自分をしばってしまって、苦しくなるばかりです。
描くこと、色をぬることが楽しいと感じるのが大切な第一歩。
それにはお父さん、お母さんも絵の具やクレヨンをまずは楽しんでいただきたいと思っています。
大人も子どもも思い切りぬりたい色をぬりにきてくださいね。

5月のあおぞらレポート〜まずは絵の具を楽しんで!!

 雨が心配された5月のあおぞら色彩楽園。天に願いが届き、当日は良いお天気になりました(5月18日 大倉山公園)


 ここのところ、あおぞら色彩楽園には偶然公園い遊びに来た人たちの参加が目立ちます。

「これは何のイベントですか?」

「申し込みがいるんですか?」と興味を持ってくださる方がたくさんです。
30年以上続いている活動だと知って「30年!すぐ近くに住んでいるのに知りませんでした!」と驚かれる方もいらっしゃいます。


CIMG0274初めて参加される場合は、お父さんやお母さんがついつい、あれこれ口を出してしまいがちです。
これは、「言わないと、この子が困っちゃう」という心配からくるのでしょう。

それでも、子どもたちは思うように描いていいことがわかると、元気いっぱいです。
3歳のSちゃんも初めは緊張していましたが、次第に解放されて、4枚目の絵を描くころには驚くほどの躍動感がありました。


子どもが絵を描こうとしているとき、大人はつい絵の具や筆の使い方を指示したり、「おててにぬってペッタンしてごらん」と言ってしまうことが少なくありません。


子どもたちはまずは、好きな色をお皿に出すこと自体に楽しさを感じているし、絵の具が水に溶けたり、混ざると色が変化することに知的好奇心を刺激されています。

そんなとき、とにかく筆で線や形を描くことを急がせてしまっては、知的欲求は満たされません。

また、絵の具の使い方にしても、絵の描き方にしても、大人から言われた通りじゃなきゃいけないと思っている子どもは「次はどうするの?」と何度も聞きます。

そして、大抵の場合、あまり集中しないまま「もう絵の具やめる」と言って、他の遊びを始めます。
自分のペースで、やりたいようにやれていないからでしょう。

しかし、描き方を決めつけられずに自分でやりたいようにやっていても、なんだか楽しめないときもあります。

そんなときは心に疲労がたまっているときです。


どの子も新学期のスタートをがんばったので、6月は子どもたちに疲れが見えるときです。

ぬりたい色を思い切りぬって、絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜることも楽しんで、心に抱え込んだ疲れを外に出してもらいたいと思っています。

4月のあおぞらレポート~あおぞら色彩楽園スタート!

春です!公園にあおぞら色彩楽園が戻ってきました!

久しぶりの公園での開催にあおぞらスタッフもソワソワ、ワクワクしながらアートスペースの設営を完了しました。

受付が始まると、待ってくれていた子どもたちや、「今日は練習がなくて遊びに来た」と言うバスケットボール部の女の子たちが「こんにちは!」と来てくれました(4月20日/大倉山公園)


CIMG0117公園での開催は久しぶりでしたが、この日も夢中で工作に取り組む子や、一心不乱に絵の具を手にぬる子、「バスケ部はアートだ!」と楽しむ子たちの姿が見られました。

スタートしてしばらくすると、子どもたちはそれぞれ目の前の作品に没頭して、あおぞらアートスペースは静まり返り、30名の子どもが集まっているとは思えないくらいの静かなな空間になりました。

こういうときの静けさに緊張感はありません。

実に穏やかな空気が漂っていました。

色彩楽園の子どものアートクラス、アトリエもそうですが、開始後しばらくするとアートスペースはとても静かになります。

子どもたちが自分の作品、すなわち自分自身と向き合い、自分のアートの中に潜って「自分」に浸っていると、とても静かになるのは、いつものことです。

こんなとき、大人の声掛けは必要ありません。

大人たちは子どもがやろうとしていることを全力で手助けするだけです。


新学期が始まったばかりの4月の子どもたちはエネルギーが高く、はりきりモードです。

ワンステップ上がった新しい環境に自分の成長を感じて、120%のスタートダッシュを見せてくれる子もいるし、しずかにパワーを爆発させている子もいます。

この、はりきりモードはいつまでも続くわけではないので、明日からしばらくの間お休みに入ることは良いタイミングでしょう。

特に小学1年生は3月から4月になっただけで、とてもお兄さん、お姉さんになったように周囲も感じます。

でも、まだまだ新しい世界に飛び込んだばかり。

緊張と戸惑いの毎日です。

明日からのお休みは、1年生になる以前のようにしっかりおうちの人に甘えてエネルギーを充電してください。

くますけがひもとく色彩楽園30年〜子どもたちの声から生まれたあおぞら募金

くまものがたりロゴ7

こんにちは!くますけです!

新学期が始まったね!新しい教室や新しいお友だちなど、新しい日が始まっていると思います。

あおぞら色彩楽園も4月からスタートしたよ!


みんなも知っている通り、月に一度の公園のアートスペース、あおぞら色彩楽園はあおぞら募金によって運営・開催しています。

今はぼく、くますけの募金箱が受付に座っているよ!

募金箱のくますけが持っている旗は毎月変わってるんだよ。


この、あおぞら募金は30年前にスタートした時にはありませんでした。

スタートから10年以上募金を集めることはなかったんです。

ところが、150名を超える多くの参加者を迎えた2008年4月、受付にやってきた男の子が手の中のコインを見せて、「これ、募金します!」と言ってくれたんです。

まさか、そんな申し出があるとは思っていなかったので、藤井さんはとても戸惑ったらしいですよ。

でも、「ありがとう!」と言って、とりあえずは近くにあった空き箱にコインを入れました。

すると、その後にやってきた子どもたちも「募金します!」と言って、箱の中にコインを入れてくれました。

そのときのことを藤井さんに聞いてみました。

「本当にもうびっくりしたよ!あまりに戸惑ってしまって、少しの間どうしたらいいかわからなかったくらい。
でも、同時になんてありがたいこと!と感謝でいっぱいでした。
だって、あおぞらの開催を応援してもらっているわけだし、ということは、楽しんでもらっていることでもあるし。

しかも募金を申し出てくれたのが子どもたち!

やっぱり、心を元気にしてくれるのは子どもたちなんだと改めて思いました」。


P1090097あおぞら色彩楽園は30年前から参加無料ですが、この日を境に受付に募金箱を置いて、参加者に協力をお願いしました。

絵の具や画用紙など画材の購入は、あおぞら募金を役立てています。

みなさんからの募金がなかったら、あおぞら色彩楽園は続いていなかったでしょう。

また、あおぞら募金は、あおぞら色彩楽園の開催だけでなく、自然災害などで被災した子どもたちのケア活動にも役立てられていて、さまざまな地域の子どもたちを支えています。


子どもたちの声から生まれた、あおぞら募金。

あおぞら色彩楽園は、単なるおえかきイベントではなく、参加者やつながっている方々など、多くの方々に支えられているアートのムーブメントだと思っています。

くますけものがたり6〜あおぞら存続の危機も!?

くまものがたりロゴ6

 こんにちは!くますけです!

ようやく梅の花が咲き始めました。春が近づいてきましたね。あおぞら色彩楽園も3月よりいよいよスタートします。早くみんなに会いたくて、待ちきれないよ!

公園での自由なアートスペース、あおぞら色彩楽園もおかげさまで30周年を迎えました。阪神・淡路大震災で被災した子どもたちのケアから始まって、今では子育て支援の場としても続いています。多くの方々に支えられている「あおぞら」ですが、30年の中では存続の危機もありました。


 あおぞら色彩楽園は1995年にスタートして、1997年には開催場所を大倉山公園に移動しました。このとき、被災した留学生の支援のために誕生したロータリー子どもの家(現神戸真生塾子ども家庭支援センター)との共催で毎月開催し、夏休みには「おもいっきりおえかき大会」も開催しました。非常に多くの参加者を迎えていましたが、共催していたロータリー子どもの家が撤退したんです。このとき、色彩楽園の単独開催で活動が続けられるのかどうか、藤井さんは本当に悩んだそうです。


 なぜなら、ロータリー子どもの家には現在も倉庫や備品運搬のための車をお借りしたりして、お世話になっています。しかし、色彩楽園だけで開催するとなると、特に資金的には非常に厳しい状況になってしまいます。ボランティアスタッフの交通費すら支給もできません。何ヶ月か悩み抜いたあげく、2014年からは色彩楽園の単独開催事業となりました。

このとき、藤井さんはどんなことを考えたのか、聞いてみました。


くますけ:色彩楽園だけで開催と決めたときはどんな気持ちだったの?

藤井:もう、なんとも重苦しい気持ちでいっぱいでした。もしも、あおぞらスタッフがボランティアを続けられないということになったら、あおぞら色彩楽園は開催できないからね。いよいよ「あおぞら」も終わるのか・・・とも考えました。

くますけ:あおぞらスタッフに伝えたときは?

藤井:2014年1月のあおぞら研修の日に、この活動の歴史や関わった多くの人たちの想いなどを改めて伝えて、この春からは交通費さえも支給できないことを知らせました。この状況でも「あおぞら」に関わってもらえるなら、改めてスタッフ登録をしてほしいと。このことを口にしたときの緊張は、もう、しばらく感じたことがないほどで、心拍数が急激に上がるのがはっきりわかりました。

くますけ:あおぞらスタッフたちはなんて言ったの?

藤井:それがね、もうびっくりしたんだけれど、あおぞらスタッフは、少し驚いてはいたけれど、異議を唱えたり、不満を漏らしたりすることはなかったのよ。それどころか、それならばと、それぞれが今後の活動資金確保のアイデアを口にし始めたの。まるで「そんなことはたいした問題ではない」とでも言いたげだったね。それだけじゃなくて、前の年に続いて(東日本大震災で被災した)福島県での「あおぞら」開催のための資金集めをみんなでがんばりたいという気持ちを表してくれたんです。


 交通費の支給がないボランティアは珍しくないんだけれど、あおぞらスタッフは毎回活動に参加できることが登録の条件です。さらに子どもに関しての様々なことを自分で勉強しなくちゃいけないの。自分で状況を判断して対応する高い能力が常に求められて、強い責任感を持ってくれています。中には心理や教育を勉強中の大学生もいたし、当時は遠く広島から毎月参加している人もいました。せめて交通費くらいは、という想いは当然のことだと思ってたんです。

くますけ:すごーい!できるだけ多くの子どもや保護者を支えたいというあおぞらスタッフの情熱は、藤井さんの想像を遥かに超えた大きなものだったんですね!

藤井:うん、そうね。交通儀なんて、どうでもよかったのかも。あおぞらスタッフはプロ集団なので、子どもの育ちや保護者にとって何より大事なことがわかってるんだよね。子どもたちにとって理想のアートスペースを維持できるのなら、それが最も大事と思ってくれているんだと思うよ。


 あおぞら色彩楽園は、神戸市社会福祉協議会善意銀行の助成とあおぞら募金で活動しています。スタッフにはできるだけ交通費を支給していますが、支給した交通費を「募金です」と言って募金箱に入れてくれています。

この、あおぞら色彩楽園存続の危機のときも、新型コロナウィルスで開催が難しくなったときも、あおぞらスタッフみんなで知恵をしぼり、挑戦し続けて危機を乗り越えてきました。その時々で進化を続けてきたと思います。

あおぞら色彩楽園30周年は、あきらめずに挑戦し続けた30年。

支えてくださっている多くの方々の想いがつまった30年です。
(写真は2015年。20周年のときのあおぞらスタッフです)

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ギャラリー
  • 6月のあおぞらレポート〜まずは楽しんで!
  • 被災した子どもたちからの贈りもの
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  • 5月のあおぞらレポート〜まずは絵の具を楽しんで!!
  • 復興の原動力は子どもたち〜震災復興モデル
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  • 4月のあおぞらレポート~あおぞら色彩楽園スタート!
  • くますけがひもとく色彩楽園30年〜子どもたちの声から生まれたあおぞら募金
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プロフィール

ふじいまさこざる

阪神大震災後の子どものこころのケアが色彩楽園の始まりです。当時出会った子どもたちは「こざるー!」と呼んでくれていました(^-^;