ここのところ、梅雨は一休みのようです。
あまりに雨が続いて外で遊べなくなると、子どもの運動欲求が十分に満たされず、ちょっぴり心配にもなりますが、子どもたちは新しい環境に慣れてきているようですし、神戸市の小学校は6月最初の土曜日に運動会も終わって、ちょっと一息ついているようです。

新型コロナウィルス感染症は先月5類感染症となり、マスクをつけていない人が徐々に増えています。
アトリエでも、この3年間で来てくれるようになった子どもたち、保護者の方々のお顔をようやく拝見できるようになって、ご家族をより近く感じるようになりました。

人の顔が半分しかわからないことは、やはり、その姿形や、その人が醸し出す空気から認識できること、伝わってくることなどが、かなり減ってしまっていたことをこの1ヶ月は感じています。
子どもたちの表情がはっきりわかると、作品を通して共に感じることも増えます。

例えば、絵の具を混ぜて色が変わったことに息を飲む瞬間の表情にこちらも息を飲みそうになるし、トライしたみたことが成功したときの輝く表情には大きなパワーをもらいます。

つまり、作品を通して共に感じることが増えると、作品が発するメッセージはより大きくなるし、子どもたちの作品をより深く聴くことができるのだと改めて感じています。

しかし、一方でマスクをつける機会が減った影響もあってか、子どもの感染症が増えています。
マスクだけではなく、3年以上も衛生面のルールが増えて清潔にしすぎたことは、免疫力の低下にもつながっているのでは、とも言われています。

この3年間にかからなかった感染症にかかるようになったということは、マスクは子どもたちを守ってくれていたとも言えそうですが、もし、免疫力の低下を招いているとすれば、長い目で見たときには「守ってくれていた」とは言えないかもしれません。

小さいうちにある程度感染症に罹患することは、ある意味で必要なことだとも言えるかもしれません。
子どもが経験する様々な多くの経験も同じでしょう。
失敗したり、壁にぶつかったり、悲しい思いをしたり、自信をなくしたりすることから避けて通ることはできません。マスクをつけるように、こうした経験を遮ることはできません。
「自信をなくすと困るから」あえてチャレンジさせないのではなく、「自信をなくしてしまったけれど、また闘志を燃やしています」というような回復力がとても大切です。
そして、子どもたちの作品を聴いていると、どの子どもにも回復力が備わっていることを感じます。

アトリエでまず子どもたちに最初に伝えるのは「失敗OK!」です。
失敗するのがイヤだからトライしないのではなく、やってみたいことをやってみよう、もし、失敗したら一緒に考えて、またトライしてみようということです。
失敗はとても大きな体験なのです。

新型コロナウィルス感染症を予防するためには、マスクを着けて生活することはやむを得ませんでした。
これからは、マスクを着けない場面が増えて、子どもたちに様々な体験が戻るでしょう。
感染症にかかってしまうこともあるかもしれませんが、それによりまた一つ強くなるでしょう。
3年3ヶ月の時が過ぎ、子どもたちの表情が見えることの嬉しさを噛み締めています。

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